どんなに高性能で快適な車を作っても、そして今後自動運転の技術がさらに進歩し、運転免許がなくても誰もが自動車ライフを楽しめる時代になっても、その車を快適に移動させる高速道路が利用できなければ、その魅力は半減してしまう。高速道路をめぐるさまざまなトピックや課題をお伝えする本連載。第3回は増加する高速道路の外国人利用者を取り上げる。
インバウンド現象は高速道路にも影響を与えている
私の生活圏の範囲には、渋谷駅前のスクランブル交差点や京都市内の有名な神社仏閣が含まれるが、どちらを通りかかってもおびただしい外国人が行き交う様を毎日のように見かける。2017年の訪日外国人は2869万人で、2014年の1341万人の2倍以上。こうしたインバウンド現象は、当然、観光客の利用も多い高速道路にもさまざまな影響を与えている。
10年ほど前であればサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で外国人観光客を見かけることは滅多になかったが、今ではSA・PAに立ち寄るたびに英語や中国語の会話が聞こえてくる。
高速道路を利用する外国人に関する統計はまだ見当たらないが、外国人のレンタカー利用者の数は国土交通省で把握されており、それによれば2012年では26万7000人(訪日外国人全体は836万人)だったのが2015年には70万5000人(訪日外国人1974万人)へとおよそ2.7倍に増えており、訪日客全体の伸び2.36倍に比べても増加率が高い。
那覇空港では、入国する外国人のうちなんと21%がレンタカーを利用するというデータもあり(2015年、国土交通省調べ)、近年のFIT(個人旅行客)の割合の増加がもっぱら個人旅行で使われるレンタカーの利用の伸びにつながっていると考えられる。
都道府県別ではもともと日本人の間でもレンタカー利用が多い北海道と沖縄で詳細な統計が取られている。その中で国・地域の利用者を見ると、北海道では香港・台湾・韓国の順、沖縄では韓国・台湾・香港の順となっており、近隣のアジア地域のウエイトがかなり高くなっている。香港は全体の訪日者数に比して韓国や中国よりもレンタカーの利用率が高いが、旧英領で日本と同じ左側通行であるため、外国でハンドルを握るハードルは通行帯が左右逆の中国や韓国よりも低いことも理由の一つと言えそうだ。
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