「65歳超人材」活用を進めるための2つの視点 未曾有の人手不足で迫られる決断

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そもそも、シニア層とひとくくりにされがちですが、より細分化して考えるべきです。

日本では75歳を境に前期高齢者・後期高齢者と区分けして、行政などは対応していますが、その区分けを使うとわかりやすいでしょう。

まず前期高齢者は65~74歳の方が該当します。主には医療制度の違いから区分されており、前期高齢者は65歳以前とは大きな違いがありません。つまり、前期高齢者は本格的な高齢者に向けての過渡的な世代といえるのかもしれません。

75歳以上になると後期高齢者と呼ばれます。老いが本格して、世間がイメージしている高齢者に近づいていきます。

振り返ると、1980年代までは55歳が定年でした。それが徐々に60歳になり、65歳へとのびてきました。その間に日本人の平均寿命が大きく伸びて、定年後の寿命が長くなったことで、定年は早すぎるとの認識が出てきた背景もあります。加えて、シニア層の健康状態も向上し、65歳を過ぎても社会の一員として働く役割を期待されるようになってきました。ただ、75歳以上の後期高齢者になっても働くことは社会もあまりイメージしていません。

60代以上の社員がいる企業に、60代、70代以上の割合はそれぞれどのくらいかを聞くと、60代が「100%」との回答が5割強とのこと。働き手として期待されるシニア層社員とは60代のことであることがわかります。

ちなみに前期高齢者=65歳から74歳は、約1700万の規模。少子化により若手層では各世代の人口が少なくなっているので、相当な人数、塊となります。なので、この大きな塊となる65歳超人材が人手不足の解消につながる働き手として注目がされるようになりました。

65歳を超えて働くことを希望している人は?

では、実際に企業で働きたいのか? 内閣府の調査では、65歳を超えて働くことを希望している人が半数以上を占めています

筆者が取材していても65歳ですっぱり仕事をやめたいと考えている人に出会うのはまれ。大抵の方々から、

・社会に貢献していたい

・自分の能力を向上させたい

など意欲的なコメントが返ってきます。

1700万人いる前期高齢者のうち、企業で働ける能力を十分に備えている人はどれくらいいるのか。推計するのは難しいですが、仮に少なく見積もって1割としても170万人。結構な数です。

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