「運動すると幸福感が増す」のは嘘じゃない 頻度が高い人ほど幸せを感じるとの調査も
対象となったのは1980年以降に発表された23件の研究だ。ほとんどが普段している運動の量と幸福を感じている度合いについて調査対象者に質問した「観察研究」だったが、一部には新たに運動に取り組ませて前後の幸福度の違いを調べる実験もあった。
それぞれの研究の調査対象者はかならずしも多くなかったが、それでも23件の合計は5万人を超えた。年齢でいえば青少年から老人までを幅広く含み、民族や社会経済的な環境もさまざまだった。
どんな運動をするかは関係ない
分析の結果、多くの研究において、運動と幸せな気分は大きく関係していた。
「どの研究も、体を積極的に動かすことと幸せに感じることの間にはプラスの関係があることを示していた」と、チェン准教授は言う。
この「幸福効果」は運動の種類とは関係がなかったようだ。ウォーキングやジョギングをして明るい生活を送っている人もいれば、ヨガやストレッチをしている人もいた。
またチェンによれば、幸福効果は運動量が少ない場合も見られた。週に1~2回しか運動しない人でもまったくしない人よりずっと幸せを感じているとする研究もいくつかあったし、1日たった10分の運動と明るい気分との相関関係を認めた研究も複数あった。
とはいえ、運動量は多いほうが効果も高いようだ。少なくとも30分の運動をほぼ毎日続けている人は、自分を幸せだと感じる傾向がそれ以下の人よりも強かったとチェンは言う。これは健康維持のために米国や欧州で推奨されている運動量に相当する。
「運動は幸福感をもたらしうるし、(運動の)種類は問わないが量は多少なりとも多いほうがたぶんいいという点が強く示唆されていると思う」とチェンは述べた。