閑古鳥の住宅展示場、それでも変わらぬ体質 活性化狙う策も抜本的な解決にはならない

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さて、これら住宅展示場の適地を探し、企画・運営を担うのが、「住宅展示場運営会社」と呼ばれる企業である。普段あまり注目されることはないが、ハウスメーカーと来場者(消費者)を結びつける重要な存在だ。

代表的な企業・団体で構成される「住宅展示場協議会」には現在20社(団体を含む)が参画。この中には、首都高速道路サービスなど公共性の高い法人が含まれる。

ちなみに、冒頭の「ABCモダン住宅展」のように展示場名の冠にTV局や新聞社などの名称が入っているケースがあるが、その企画・運営のほとんどは住宅展示場運営会社が行っていることがほとんどだ。

どのような事業内容なのか

彼らの事業はまず、展示場に適した土地の情報を得て、地主と交渉。首尾良く展示場の設置が決まれば、大手ハウスメーカーを中心にモデルハウス出展の交渉を行う。出展が決まれば、ハウスメーカーから借地料を徴収する。これが第1の収益源だ。

展示場がオープンすれば広告を打つ。新聞の折り込みチラシをはじめ、ホームページの開設、定期的に行われるイベントももちろん彼らの企画だ。これも出展ハウスメーカーの経費でまかなわれ、運営会社にとっての第2の収益源になっている。

要するに、展示場運営会社については不動産の関連業務と広告代理店の業務を担う企業とイメージしてもらえばいいだろう。だから、このビジネスでは、運営会社は運営する展示場が増えれば増えるほど収益は増す。

さて、「変化なく今に至っている」と前述した住宅展示場だが、もちろんこの50年の間に細かく見れば変貌した部分はある。たとえば、どんぶり勘定だったハウスメーカーによるモデルハウスへの資金の投入。今では配置する人員の数や支払う給料などの生産性を重視する動きに転換している。

住宅展示場ではハウスメーカーなどの撤退により空き区画も目立つようになってきた(筆者撮影)

このため、かつてのように1カ所の展示場に何棟ものモデルハウスを建てるようなことは少なくなり、空き区画を抱えるケースも多数見られるようになってきた。住宅展示場の数そのものも次第に減少する中で、運営会社の経営環境は厳しくなりつつある。

住宅市場が大きな変革期を迎えようとしている今、住宅展示場のあり方も変化を迫られている。運営会社でも住宅展示場を活性化させるため、大きく3つの施策を行っている。

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