星野リゾートの社内はなぜ風通しがいいのか 社員が自律的に動ける組織が持つ5つの特徴
2.安心して言いたいことが言える
意思決定プロセスがトップダウンではないなら、ボトムアップかというと、そうではない。役職に関係なく同じテーブルで議論ができ、誰が発言したかに関係なく、説得力のある意見が採用される――。これが真にフラットであるということだ。各施設で毎月開かれる戦略会議では、総支配人の意見にスタッフが反論することもあれば、総支配人の反対にもかかわらず、スタッフの意見が採用されることもある。
言いたい相手に自由に言えるためには、普段から人間関係がフラットであることが求められるが、「これは制度を導入すれば達成できるものではなく、文化そのものを変えていく必要がある。だからこそ、会社のトップの覚悟とコミットメントが欠かせません」と星野代表。役職にかかわらず皆が同じデスクで仕事をしたり、互いに役職名で呼ばず、誰に対しても「〇〇さん」と「さん付け」で呼ぶことを徹底したりするなど、フラットな組織文化の阻害要因となる「偉い人信号」を1つずつ排除していったという。
また、マネジメント層と現場スタッフに与えられる情報量の均一化にも取り組んできた。星野リゾートでは、社員なら誰でも、自分たちの施設の売り上げや顧客満足度など業績に関する情報にアクセスすることができる。上層部が経営判断に使うのと同じ情報を現場とタイムリーに共有することで、現場スタッフに正しい議論や判断を促し、自分の仕事に責任を持ち、主体的に取り組める環境を整えているのだ。
管理職にとっても心地よい環境
3.リーダーはつねに正しくなくていい
誰もが経営情報にアクセスでき、しかも言いたいことを自由に発言できる環境では、管理職はこれまでのように「一般社員が知らない情報を持っている」とか、「部長だから偉い」といった特権や優位性にあぐらをかくことができなくなる。部下からの反論を受けて議論を有利に進めるには、論理的思考が必要になるし、会議で皆の意見をまとめるには、より高度なファシリテーション能力が求められる。リーダーとしての真の実力が問われるという意味で、管理職は試練に直面することになるのだ。
その一方で、「『管理職はつねに正しい発言をしなければならない』というプレッシャーから解き放たれる」という側面もあるようだ。「組織がフラットであるということは、管理職も議論に参加する1人であるということ。思いつきをどんどん発言し、妥当性のある批判を受けたら直ちにそちらに乗り換えればいいのです」(星野代表)。管理職にも自由に発想し発言する機会が与えられるフラットな組織文化は、慣れれば管理職にとっても心地よい環境になるはずだという。
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