下着のワコール、「婦人靴」が売れ続ける理由 客室乗務員やホテル従業員から圧倒的な支持

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過去には衣料品大手のユニクロも一度、靴事業の撤退に追い込まれるなど、靴市場は異業種からの参入が難しいといわれる。障壁の1つが、在庫管理の問題だ。「S、M、L」のサイズ展開が中心の衣服と異なり、靴は0.5センチメートル単位で細かくサイズを用意しなければならない。あるアパレル大手の幹部も「大量の在庫を抱えるリスクや原価低減の難しさがあり、靴への参入はあきらめた」と明かす。

若年層の取り込みに貢献も

下着の場合、たとえばブラジャーであればカップサイズとアンダーバストに沿ったバリエーションが求められる。店頭では膨大な在庫をつねに持つ必要があるため、「大量の在庫を管理するテクニックやノウハウはワコールの一番の強みだった」(鈴木部長)。機能性に富んだ商品の開発に加え、多数の在庫をコントロールできる仕組みが社内で構築されていたことが、靴事業の成功に寄与したといえる。

ワコール・ウエルネス事業部の鈴木淳部長は「大量の在庫を管理するノウハウはワコールの強み。売り場もさらに増やしていきたい」と語る(記者撮影)

ワコールにとって主力商品が下着であることに変わりはないものの、靴の展開が同社の顧客層拡大に一役買う可能性はある。国内のインナーウエア市場は、人口減少に伴い縮小が見込まれるうえ、低価格・高機能を打ち出すユニクロなどの勢いも増している。高価格帯のイメージが強いワコールは、20~30代の若年女性の取り込みが長年の課題だった。

現在、就職活動や入社などの機会に合わせて、母とともにサクセスウォークの購入に訪れる若い女性も増えているという。鈴木部長は「最近は特に若い世代からの支持が伸びている。ビジネスパンプスといえばワコールの靴、として幅広い世代に根付くようなブランディングを進めていきたい」と意気込む。

40~50代の親世代の間では圧倒的な認知度を誇るワコール。働く女性に照準を合わせた靴の販売もテコに、娘世代にも支持を広げることはできるか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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