時価総額の増減が大きい米国企業ランキング 増加額トップはアマゾン、率はエヌビディア

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4位は140文字以内の短文投稿が特徴のSNSサービス企業ツイッター。上場は2013年11月と新しいが、業績は赤字が続き、株価も2016年初めまで下降トレンドが続いた。トランプ大統領が投稿を繰り返し注目を集めているが、実は米国では利用者数が減少している。ただ、日本を含むアジアでは伸びていることが寄与し、この1年で時価総額は倍増した。したがって、成長ではなく復活してきたというのが実情だ。

減少率もトップはGE、上位にバイオ企業も

最後に減少率のランキングをみてみよう。減少額とともに減少率でも1位はGE。また傘下のエネルギー部門新会社のベーカーヒューズ・GEカンパニーが3位となった。

医薬・バイオというと、ITと並んで米国の成長分野というイメージが強い。だがこのランキングでは、上位10社のなかに医薬・バイオ企業3社がランクインしている。

2位のインサイトは、主力の骨髄線維症・真性多血症治療薬「ジャカフィ」や白血病治療薬「アイクルシグ」が伸びているものの、2017年は研究開発費が大きく膨らみ、赤字に転落したことが響いた。

9位のセルジーンは、がんや免疫・炎症性疾患を重点領域とするバイオ医薬メーカーで、主力の多発性骨髄腫治療薬「レブラミド」が売り上げの6割を占める。昨年10月に次期主力との期待の高かったクローン病治療薬の臨床実験に失敗し開発を中止、長期利益見通しを引き下げたことで株価が急落した。その後2018年1月にT細胞受容体治療薬のジュノを90億ドルで買収、細胞免疫系の研究開発を一段と強化する構えだ。

このようにバイオ企業は膨大な研究開発費をかけて新薬を開発する。成功すれば多大な収益が期待できるが、失敗したときのダメージは大きく、リスクの大きな業態だ。もっとも、両社ともに株価は2011~2012年から急上昇しており、今回はその高値水準からの下落ということになる。

ドラッグストア2位のウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(13位)、女性向けランジェリーや美容製品を販売するエル・ブランズ(16位)、全米35州でスーパーマーケット2782店、19州でコンビニエンスストア782店を展開するクローガー(18位)、化粧品販売の最大手チェーン、アルタ・ビューティ(20位)など小売業企業も目立つ。ネット通販の拡がりによって、大なり小なり影響を受けていることは確かだろう。

株価は日々変動している。ちょうどいまは2018年1~3月期決算の発表を迎え、その結果あるいは収益見通しの内容などが敏感に反映される時期にある。加えて、特にこの先は、トランプ大統領が主張する新しい貿易・通商方針によりグローバルビジネス展開の環境が変わる可能性がある。情報漏洩対策として仮に何らかの規制が導入されれば、ネット企業の急成長に水をさす場面が出てくるかもしれない。このような外部環境の変化によって、企業価値の期待値が上下することも十分ありうる。

1年後、これらランキングはどう変わっているだろうか。

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