時価総額の増減が大きい米国企業ランキング 増加額トップはアマゾン、率はエヌビディア

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5位はボーイング。世界最大の航空機メーカーで、貨物機では世界シェア9割を占める。2016年まで利益は横ばいが続いていたが、2017年にジャンボ機のB-747からの撤退を決め、中型のB-737に軸足をシフトさせた。世界的に航空機需要は高く、受注も好調で、2018年第1四半期時点での受注残は5835機に達している。株価はトランプ大統領の当選が確定した2016年11月以降、急上昇が続いているが、直近はそのトランプ大統領が口火を切った関税措置によるコスト高や、米中の応酬が貿易戦争につながるのではとの懸念も影響し、足踏み状態にある。

12位のフェイスブックは、利用者情報の流用問題が発覚したあと株価が急落しているが、前年との比較では730億ドルあまり時価総額を増やしている。マーク・ザッカーバーグCEOが議会証言を乗り切り、2018年1~3月期決算が予想以上に好調だったことから、今後に関して大きな影響はなさそうだ。

トップ30ではITやネット関連企業が目立つ。16位のアドビ・システムズはPDF編集ソフトのアクロバットや画像編集ソフトのフォトショップで有名だが、クラウドサービスの成長が寄与。19位の電子決済サービスのペイパルは、金融機関やカード会社に続き、2017年にはグーグルや中国バイドゥなどとも相次ぎ提携し、取扱額が急拡大した。

減少額トップは断トツGE

時価総額を減らした企業はどうか。トップはゼネラル・エレクトリック(GE)で減少額は1400億ドルに達し、1年で時価総額は半分以下となった。直接の要因とされるのが、2017年7月に世界3位の油田サービス会社のベーカーヒューズを買収、石油・天然ガス部門と統合し、新会社としたことだ。上流から下流に至るまでフルストリームで「業界最先端の機器、サービス、デジタルソリューションを提供する」(同社リリース、2017年7月5日)とうたっていたが、販売量減少にリストラ費用もかさみ、同部門の利益は急減した。主力部門の1つである重電部門も、生産性の悪化に加え、不良在庫処分や訴訟関連などの費用がかさみ、大きく利益を押し下げた。株価も2017年1年間を通して下落が続いた。ちなみにエネルギーの統合新会社であるベーカーヒューズ・GEカンパニーも上場企業で、20位にランクインしている。

2位はクラフト・ハインツ。“オマハの賢人”ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが筆頭株主の、いわゆる「バフェット銘柄」の1つだ。同社の主力商品はチーズやケチャップ、それに加工肉だが、主市場である米国で売り上げが伸びていないことが主因だ。こうした状況を打開するためか、2017年2月には規模で勝るユニリーバに買収を仕掛けるも、程なく断念に追い込まれている。

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