結婚7年目、32歳「別居夫婦」の幸せの在り方 同居は僅か2週間、日英遠距離夫婦のリアル
なお、入籍は洋さんがイギリスに発つ直前。春菜さんは当初あまり結婚に乗り気ではなかったが、3カ月にもおよぶ洋さんの熱烈な求婚が実った形だ。
洋さん「本当はイギリスについてきてほしかったけど、そもそもの結婚からして渋られてしまったので……。もう、そこからはゴリ押しです(笑)。日本を発つまでの間になんとか、せめて結婚だけは了承してもらおうと彼女のいる京都に行っては押しまくった。というのも、海外と日本となると、これまでの遠距離とはわけが違う。もし、僕が向こうにいる間に彼女に何かあったとしても、『交際相手』というステータスでは帰国しようにも会社の理解を得づらいですからね。あとはもちろん、遠く離れてしまうからこそ夫婦になって精神的なつながりを強くしたかったというのもあります」。
一方の春菜さんは、結婚に対してはやや冷静なスタンスのようだ。
春菜さん「夢のない話になってしまいますが、私自身はそこまで結婚を重要視していませんでした。逆に言えば、重要でないならべつにしてもいいかなと(笑)。夫が言うように、未婚だとパートナーとして社会的に不便が生じることはあると思いますが、心の繋がりとか感情的な面でいえば必ずしも夫婦という形をとる必要はないんじゃないかと。結婚している・していないに関わらず、彼に対しての絆はちゃんと感じていますから」。
春菜さんの言葉はぶっきらぼうで冷たく感じられるかもしれないが、最後の一言からは不器用ながら正直な夫への愛情が伝わってきた。大学時代の遠距離恋愛から10年以上にわたり、物理的な距離を乗り越えてきた絆は確かなものだ。
たまに会うからこそ、常にフレッシュな気持ちでいられる
春菜さんは、洋さんとの共同生活を拒んでいるわけではない。ただ、一緒にいることより、今やるべき研究に没頭する道を選んだ。夫とは心でつながっている。自信があるからこそ、ステレオタイプな夫婦像に縛られる必要はない。幸い、夫もそんな妻を応援し、成功を望んでいる。
洋さん「自分で言うのもなんですが、妻は優秀なんですよ、本当に。大学も首席でしたし、研究者として世の中に貢献できる人だと思うんです。僕のために料理を作ったり家事をしたり、そういうことに時間を費やすより研究者として羽ばたいてほしい。最終的にはノーベル賞をとってほしい、なんて思ってます(笑)」。
そんな夫に、妻も素直な感謝を述べる。「今の生活に不満は全くありません。離れているので常に安否確認はしていますが、基本的には互いに放置です。かなり自由にやらせてもらっていますね」。
平日のコミュニケーションはLINEで、毎日たわいもないやりとりする程度。休日は日本時間の22時からビデオチャットで会話をするが、絶対の決まりではない。飲み会などの予定があればキャンセルできるゆるいルールだ。