「快感」とはいったい何か?米国で議論が沸騰 芸術がもたらす快楽はほかと異なるのか

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どのグループも賛成すると思われるのは、以下の要素だ。

――ワインと同じで芸術をどれほど楽しめるかは、価格や作者の評判といった文脈上の手掛かりによって左右されるとみられる。

――芸術とは何かを定義するのは困難だが不可能ではない(ただし、定義は変わりうる)。

――どの文化でも、美しいと人々が感じるものと芸術作品の間にはズレがあり、それは建築や風景、人間の顔よりも大きい(最もズレが小さいのは顔だ)。

ダ・ヴィンチを見たときとポルノ動画を見たときの違い

そして意見が対立しているのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を鑑賞したときと、ポルノ動画サイトやマクドナルドのハンバーガーを楽しむときと、働きかける神経プロセスが異なるかどうかという点だ。

ナダルはあるインタビューで1つ目のグループを代弁し、「人間は感覚的な体験の快不快を判断するのに特定の快楽のシステムのみを使っていると見られる」と述べている。

この発見についてナダルは「過去15年間の神経科学から生まれた最も重要な知見の1つ」だと述べるとともに、クラッカーを食べるのと彫刻を見るのとでは得られる喜びに違いがあるように思えるが、脳内では同じように処理されているという証拠だとの考えを示した。

だがそうは考えない専門家もいる。

「神経系の共有という観点から論じるのはばかげている」と言うのはエール大学心理学科の教授で『喜びはどれほど深い? 心の根源にあるもの』などの著書のあるポール・ブルームだ。

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