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いまの資本主義が生む「錯綜する欲望」とは? NHK異色の「経済」番組が問いかけたこと

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  • 丸山 俊一 NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー/立教大学特任教授/東京藝術大学客員教授
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その結果、市場の交換価値の論理によって取引されるものの比重がどんどん高まる。体験、共感、感情……。人生における「かけがえのないもの」にもなりうる感情は、市場の中にのみ込まれ「交換可能」なものに置き換わる。すべて、「商品」となり、「消費財」となっていく……。

その究極は、人生そのものが「商品」となるという、ハリウッド映画のシナリオにすでにありそうなストーリーともなりかねない。映画なら、市場を巧みに利用したつもりでいたはずの売り手は、自らの人生を「搾取」されるというオチが待っているはずだ。

現代は、「交換価値」を高めること自体が、ひとつの「使用価値」であるという「錯覚」を生んでいる。

さらに事態をややこしくしているのは、実は、この「錯覚」によって資本主義は日々更新され、自由を維持し保たれているという側面も、ある程度は否めないということだ。

必要なのは「結論」より「免疫」

このジレンマを、どう考えればいいのか。「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」は、そこで、少なからず考えるヒントを提供してくれるはずだ。

番組、そして本書では、コーエン、ガブリエル、セドラチェクら世界の知性たちの刺激的な言葉が並んだ。「資本主義はショウ」(ガブリエル)、「創造的であれ、さもなくば、死だ」(コーエン)、「資本主義に代替案はない」(セドラチェク)……。彼らの発言から、僕たちは何を読み取るべきか。

そこに固定化された正解などないし、安易な結論はいらない。資本主義は、つねに2つのレベルの錯綜、パラドックスを先送りしながらやり過ごしていくことで、なんとか保たれるものだからだ。

白か黒かの二択を迫る対立があったら、それから少し逃れて思考してみることが重要ではないだろうか。拙著を引かせてもらうなら、まさに資本主義の最前線において『結論は出さなくていい』(光文社新書)のは、思考停止しない、免疫力を養うための知恵なのだ。

「欲望」をめぐる考察、認識の冒険は終わらない。いったい、何が見えてくるのか? ぜひ、ご一緒に思考の旅に出ていただきたい。

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