いまの資本主義が生む「錯綜する欲望」とは? NHK異色の「経済」番組が問いかけたこと
「リンゴを高く売ることに夢中になっているうちに、リンゴの味を忘れてしまったのか?」
童話のセリフではない。NHK BS1で新春にお送りした「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」、その番組内でのナレーションだ。このシンプルな一文で、いまという時代に生まれがちな皮肉な状況を描写してみた。
たとえば、電車に乗れば、スマホから目を離せない人々の列が続く。バーチャルの世界を追い、ゲームに興じる若者……。数字の物語が、今日もディスプレーに躍り、人々は一喜一憂する。
生産物たるリンゴを売ることで対価を得つつ、そのリンゴ本来の味わいを忘れないというシンプルで当たり前な人間の営みは、この現代社会に生きていると、実はかなり難しいバランスゲームなのかもしれない。


















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