東宝、一度諦めた海外進出に再挑戦する理由 ハリウッド版「ゴジラ」と「君の名は。」がカギ
広大なグローバルライセンス市場、ここに礎が築けるのか? これも東宝の今後の海外ビジネスの行方を左右することになる。
「君の名は。」「ピカチュウ」への期待感
しかし、目標が立てられても、その道筋が楽なわけでない。とりわけハリウッド大作の製作費は100億円、200億円になることがある。たとえ一部の出資でも国内の大作映画並みの投資になるため、リスクは大きい。
「リスクは確実に高まります。しかしリスクが高いから挑戦しないのでは前に進めない。成長のためにはリスクも取らなければいけない。ただ積極的にやりながらも、リスクをどうやって軽減できるかを考える必要があります」(松岡氏)
国内企業との協力も重要だ。東宝が海外展開の切り札とする日本コンテンツ。実は東宝が権利のすべてを持つものは決して多くない。「ゴジラ」は東宝が100%権利を持つ数少ない例だ。
すでに製作が進んでいる『DETECTIVE PIKACHU(名探偵ピカチュウ)』は、株式会社ポケモン、クリーチャーズ、ゲームフリークによる作品。東宝は国内でポケモン映画を配給してきた実績、そして海外との交渉力に期待されてビジネスに参加する。
こうした点で実写版『君の名は。』は試金石になる。この交渉では、原作者・監督である新海誠氏のマネジメントとアニメーション制作をしたコミックス・ウェーブ・フィルムと密接なコミュニケーションを取り続けている。
「『君の名は。』の実写化には、非常に多くの問い合わせがありました。その中で実写化をするなら誰と組むべきなのか、どういった映画を作るのか、それは世界の人たちが観たいものなのか。これが納得できなければ組まないと決めていました」と松岡氏は言う。そのうえで「結果として最高のスタッフでチームが組めた」と今回の企画を提示した。これがコミックス・ウェーブ・フィルムからの信頼につながっている。
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