ガンダム、40年のヒットは努力の結晶だった バンナムHD田口三昭社長が秘訣を語る
──ガンダムは1979年に放送を開始、2019年には40周年を迎える。これだけ長く愛されている理由は?
あくまでも私見になるが、最初の作品「1年戦争」の世界観に尽きると思う。主人公アムロはヒーローなのに怖がるし、腑に落ちないことがあれば「なぜ」と問いかける。そうした人間の内面性を描いたことがファンに受け入れられたのだと思う。
われわれはバトルと呼んでいるが、戦いの中で傷つき、人間同士の触れ合いを描いたシリアスな作品は、飽きられずに引き継がれる傾向にある。これまで多くの続編が制作されてきたが、ガンダムというタイトル名と、ロボット、戦争、人間ドラマという基本的はしっかり抑えてきた。
ロングヒットの秘訣とは?
──ガンプラ(ガンダムのプラモデル)を筆頭にグッズも売れ続けている。2015年度のガンダム関連売上高は786億円を記録した。
僕が入社して最初に担当したのがガンプラの製作だった。当時は144分の1スケールで再現した戦車などのミリタリー玩具があり、これをアニメの世界で最初に持ち込んだのがガンダムだった。
価格帯は子供たちが買えるように300円をスタンダードにしようとしたが、最初に手に取ったのは大学生が多かった。もともとキードライバーとして商品化したが、36年目を迎えて40年に向けて発展するとは予想もしていなかった。ガンプラは作品性を描くのにフィットしており、もっともガンダムの人気を支えてくれている商品だ。
──ガンダム以外にも息の長い定番キャラクターを複数扱っている。キャラクタービジネスを続けるために必要なこととは。
これまで外部に対してノウハウを語ったことはないし、おそらく方程式もない。「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」も40年以上続いているが、よく言われるのは「ガンダムの1年戦争はよかった」ということだけで引っ張るのは難しいということ。
基本設定は踏襲するものの、今の人たちにとっての人間性、今の若い人にとっての戦争というものを作品ごとに変えている。これを当社では「イノベーション」と呼んでいる。
「プリキュア」も同じだ。今の女の子たちの気持ちを代弁する、いちばんフレッシュなテーマを考える。作品に感情移入して何かを感じてほしい。前の作品が偉大なほど次の人は大変だが、新しいものをやらないと絶対に飽きられる。歴史のある作品は基本を踏襲しつつ、奥行き感をうまく使いながら、入門しやすいアレンジを心掛けている。
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