東宝、「ヒット連発」を支える映画事業の秘密 当たれば大きいが大コケしても問題なし
『シン・ゴジラ』に『君の名は。』――。次々とヒットを飛ばす東宝の業績はどうなるのか。同社が1月16日に発表した2016年3~11月期決算(第3四半期)は、売上高は1781億円(前年同期比1.8%増)、本業の儲けを表す営業利益は414億円(同28.7%増)と、第3四半期決算としては過去最高益となった。
東宝の今2017年2月期は、滑り出しから絶好調だった。2016年4月に公開された定番の東宝配給アニメの1つである映画『名探偵コナン』が、シリーズ20作品目にして過去最高となる興行収入63億円を記録した。
『シン・ゴジラ』が稼ぐ
続く7月末には、興行権、ビデオ化権、テレビ放映権、関連商品権など、全ての権利を持っている自社単独製作の映画『シン・ゴジラ』が公開された。興収は2016年公開の実写映画トップの81億円を超えている。そして2016年8月公開のアニメ映画『君の名は。』に至っては興収232億円を超え、邦画歴代ランキングでは『千と千尋の神隠し』に次ぐ2位となるメガヒットとなった。
ヒットの理由は、いくつでも後付けができるだろう。東宝では、「何と言っても新海誠監督の才能。画(え)の力は唯一無二。この作品が持っている力に加えて、東宝の宣伝・営業部隊が中心となり知恵を絞って売り方を考えた」(浦井敏之 常務取締役)ことが功を奏したと説明する。
コアなファンを獲得していた新海誠監督の過去作品の『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などと比べると、『君の名は。』のストーリーは「一般受け」する要素を取り入れ、計4万人というまれに見る大きな規模で試写会を開催し、SNSで拡散、口コミで観客の裾野を広げた。
一方で、『君の名は。』の陰で、期待されていたほど興収が振るわない作品もある。2016年12月に公開された『海賊とよばれた男』は、劇場公開から1カ月ほどが経過した1月15日の時点で興収20億5600万円にとどまっている。
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