東宝、「ヒット連発」を支える映画事業の秘密 当たれば大きいが大コケしても問題なし
興収87億6000万円と大ヒットした映画『永遠の0』(2013年公開)と同じく、岡田准一主演、山崎貴監督、上下巻の累計発行部数が400万部を超える百田尚樹氏の大ベストセラーを原作としていることを踏まえると大コケにも思える。
ただ、会社側は「問題はない」(浦井常務)と意に介さない。アニメも実写映画も、制作スタッフの数が増え、拘束される時間が長引けば製作費は嵩む。監督が時間をかけて作り込むほどに製作費は膨らんでいくが「東宝のプロデューサー陣の予算管理は徹底している」とある業界関係者は言う。
業績好調で配当も大増額に
「『君の名は。』も『シン・ゴジラ』も製作費のコントロールができていた」(浦井常務)。東宝の映画製作は、「化ければ大きいが、思っていたほど興収が伸びなくても問題がない」という土台がある。
会社側は通期の業績見通しについて、売上高2340億円(前期比2.0%増)、営業利益470億円(同15.4%増)と従来の予想を据え置いている。配当については業績の好調を受けて、従来の通期で25円から特別配当20円を含む45円に大増額した。
絶好調の今期だが、来2018年2月期はどうなるのか。特需ともいえる『君の名は。』『シン・ゴジラ』ヒットの反動減が予想される。ただ、安定的に興収20億円以上をたたき出す定番のアニメ映画『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ポケットモンスター』『妖怪ウォッチ』に加え、大人気漫画を実写化した『3月のライオン』や『ジョジョの奇妙な冒険』のほか、「化けたらおもしろい」(浦井常務)と前評判の『帝一の國』や『君の膵臓をたべたい』など大型作品の公開予定が目白押しだ。
『君の名は。』の新海監督の次の作品は、「3年はかかる」(浦井常務)。ただ2017年夏には米林宏昌監督の『メアリと魔女の花』と8月に新房昭之監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の公開を予定しており、宮崎駿監督の穴を埋めるアニメーション監督による盤石なローテーションができつつあるようだ。
映画事業は「化ければ大きく、大コケしても問題なし」の揺るぎない基盤を築き上げた。来期の業績はどうなるのか。例年通り、4月の本決算とともに開示される見通しに注目が集まりそうだ。
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