武田薬品、試されるウェバー社長の経営手腕 巨額買収で国際化に前進
[東京 26日 ロイター] - 武田薬品工業<4502.T>が、英国に上場するアイルランドの製薬会社シャイアー<SHP.L>買収に向けて最終的な調整に入っている。グローバル企業としての社内体制を着実に整えてきた武田は、買収が実現すれば製薬業界で世界のトップ10入りを果たす。
長谷川閑史前社長時代から10年以上かけて進めてきたグローバル化を完遂する不可欠な決断といえるが、巨額買収に見合う果実をどう確保するのか、ウェバー社長の手腕が試されることになる。
医薬品業界、買収評価には時間
武田はシャイアーに対し、1株あたり49.01ポンドへの引き上げを含む5回の条件提示を行った。買収総額は約460億ポンド(約7兆円)となり、実現すれば、2016年のソフトバンクグループ<9984.T>による英半導体設計アーム・ホールディングスの買収(約3兆3000億円)を上回り、日本企業の海外M&A(合併・買収)としては過去最大となる。
医薬品業界では、大型薬の特許切れへの備えや、研究開発費の高騰などを背景に、有望な新薬候補を手に入れるためのM&Aが増えている。ただ、その新薬候補を上手く育てられるかどうかを判断するには、長い目が必要だ。
武田が08年5月に約8900億円を投じて買収した米ミレニアムも、当時は高い買い物と言われた。しかし、17年3月期に1432億円億円を売り上げてブロックバスター入りし、武田の主力薬となっている「エンティビオ」は、ミレニアムによる開発品だ。ミレニアム買収は「エンティビオ」目的ではなかったものの、買収後に同薬を大きく育てることに成功した。医薬品企業の買収にはこうしたことが起こり得るため、武田にとってシャイアー買収が過大な投資となるか、グローバル企業へと飛躍する推進力となるかの判断は、現時点では難しい。