トランプ・金正恩会談、一体何を話し合うのか いまだ基本的な要素は確定していないが…

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北朝鮮は、自国経済を締め付けている国際制裁の解除を求めている。失敗に終わった過去の合意では、北朝鮮は兵器開発を放棄する見返りとして、重油や代替の原子炉を含む支援に加え、攻撃や侵略しないとする米国の誓約を含む安全保障を求めていた。

北朝鮮はまた、過去の合意で、核拡散防止条約(NPT)に復帰し、 国際原子力機関(IAEA)の査察官受け入れにも合意していた。北朝鮮の核の主力施設である寧辺(ヨンビョン)の原子炉で行われている核関連活動は、今後の交渉における焦点の1つになるだろう。米政府はまた、豊渓里(プンゲリ)の核実験場の廃棄についても証拠を求めるだろう。

ポンぺオ氏は、北朝鮮は不可逆的な行動を取るまで見返りを期待すべきではないと発言している。北朝鮮が核兵器プログラムの解体に応じるかと聞かれた同氏は、歴史的な検証を踏まえれば「楽観的ではない」と回答。一方で、過去の交渉では、制裁緩和のタイミングが早過ぎたとも指摘した。

トランプ政権は22日、米国が譲歩するには、まず北朝鮮による大幅な核プログラムの解体が必要になるとの認識を示した。

「われわれはまず、北朝鮮の大幅な核プログラムの解体を求めている。非核化が実現するまでは、国際社会による最大限の圧力が続けられる」と、ホワイトハウスの国家安全保障会議の広報官はロイターに述べた。

米情報機関当局者は、国連による昨年の3度の制裁強化が、「北朝鮮の輸出収益を大きく減少させた」とみている。

だが、金委員長が真剣に交渉する意思があるかどうかは、国際的な経済的圧力の継続にかかっており、それには中国とロシアの協力が必須となる。

現段階では、「金委員長に自身の一族が長年取り組んできた核開発を自発的に手放す用意があると考えたり、非核化の発言を額面通り受け止めるのは、極めてバカなことだ」と、ある政府当局者は話す。

ホワイトハウスは、米朝首脳会議で北朝鮮に拘束されている米国人3人についても取り上げるとしている。

トランプ氏は、米政府が3人の解放を要請しており、「実現する可能性が相当ある」と述べた。だが、3人の解放が首脳会談実現の条件かどうか聞かれると、回答しなかった。

平和条約

北朝鮮は、1953年の朝鮮戦争の停戦協定に代わる平和条約の締結を長年求めている。北朝鮮は韓国との間でこの交渉を再開したが、韓国側は、「平和政権」や、「敵対的行動を終結する合意」などの表現を使って、「平和条約」という言葉を回避している。

トランプ大統領は、北朝鮮が核兵器を放棄するなら、南北の交渉を「応援する」としている。

(David Brunnstrom and John Walcott  翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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