休暇中にも仕事「ワーケーション」に賛否両論 有休取得率アップの効果もあるが課題は?

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「また、仮に従業員がワーケーション制度を利用しなくても、会社がそのような制度を導入したこと自体、年次有給休暇の取得を促進している姿勢の表れとも言えます。従業員にとってはより働きやすい環境になると思われます。

もちろん、会社にとっても、ワーケーション制度の導入により、採用率向上に伴う人手不足の解消や離職率の低下、無駄な会議の廃止等を通じ、一定のメリットもあります。導入を検討する余地はあるでしょう」

導入することで、企業側も労働者側もメリットがありそうだ。一方で、山田弁護士は「いくつか注意も必要だ」と指摘する。

「まずは労働時間の管理です。ワーケーションは『テレワーク』制度と同様に、職場で勤務状況を目で見て確認したり、タイムカードなどによる労働時間を把握したりすることができません。

労働時間は従業員の自己申告が原則となります。しかし、本当に従業員が申請した時間通りに就業しているかが不明であり、従業員の労働時間や残業時間の把握が困難になります。結果として、適正に人事評価を行うことができるのかという問題も生じます」

情報管理上の問題も

ワーケーションでは、休暇中に旅行先で勤務することもありうる。

「中には、勤務する環境が整っていない場所もあるでしょう。勤務意欲やモチベーションが維持できるのか、さらには情報管理上の問題もあります。

ワーケーション制度を導入するのであれば、ノートパソコンには必ずパスワード設定を行わせたり、社外に持ち出す資料も最小限にするなど、情報漏洩のリスクを最小限に抑えた上で、制度を利用させる必要があります。

さらに、休暇時にも『ワーケーション制度を利用するように』などと、社員に指示することも認めるかどうかも検討が必要です。ワーケーション制度の導入により、労働者にとって休暇の意義が損なわれることがないよう配慮が必要です」

山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所

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