全米騒然!元FBI長官渾身の「暴露本」の中身 トランプと闘った男が言いたいこと
トランプの時代を振り返るとき、われわれはジェームズ・コミーの新著書からの生き生きとした章を思い出すだろう。元連邦捜査局(FBI)長官は、当時の次期大統領が「自宅」と呼ぶ黄金の宮殿で彼と面談した際に、「ものすごく奇妙な感覚」に襲われる。彼はトランプを見てマフィアのドンを思い出すのだ。
それから新しく就任した大統領はコミーをホワイトハウスで2人きりのディナーに招待し、通過儀礼が始まる。何が起こるのかはわかっている。
「俺はお前の忠誠心を期待している」
『A Higher Loyalty: Truth, Lies, and Leadership』の冒頭で、ニューヨークの連邦検事であり、30歳にも満たない若き日のコミーは、米国のマフィアで最もランクが高く、政府の証人となったサルバトーレ・グラヴァノ(雄牛のサミー)から、マフィアのルールの伝統をしっかりと仕込まれている。コミーはこれらを「静かなる同意の輪。ボスの完全支配。忠誠宣誓」と要約する。
場面は、ホワイトハウスのグリーンルームでのディナーに素早く切り変わる。“ボス”は「必要なのは忠誠心だ」と言う。「俺はお前の忠誠心を期待している」。
シャンデリアの下でシュリンプスキャンピを食べながら、コミーは体外離脱体験をする。「非現実的だった」と彼は描写する。「考えてみると雄牛のサミーのコーザ・ノストラへの加入式での要求のようだった。私は大統領からほんの少ししか離れていないところに座り、彼の顔を直視していた。心の声は、『何もするな、動くんじゃない』 と言っていた」
しかし、コミーはついに動いた。トランプの悪意あるツイート (「げす野郎!」「奴の”覚書”は利己的な偽物だ!」)の標的は、アメリカの電波を意のままに操る。彼こそがヒラリー・クリントン元大統領候補を2016年の投票前夜に手ひどく裏切ったと信じ込んでいるクリントンファンたちの苦い軽蔑の対象である。
このことは永久に論議されるであろう。コミーは著書の中でその罪に対する無実を訴えているが、聖人ぶった独善的態度だと酷評されている。彼は右派と左派の両方の評論家からの賞賛と義憤を得ている。