今週は1ドル97円50銭~99円台後半 米デフォルト不安は解消したのか?(為替見通し)

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こうした中、先週末ドルは対円相場で1ドル=98 円台に値を戻した。日本の機関投資家の米債投資と思われるドル買いがドル円の下値を支え、持高調整を経た海外短期筋の一部がそこに加わった。ここで重要なのが、数ノッチ程度の格下げであれば、恐らく日本人投資家の米債投資方針には深刻な悪影響が出ないであろうということだ。

先月末、米格付け大手S&P は「政府が債務履行できなければ、選択的債務不履行(SD)に格下げする」と言明した。だが、2011 年の米国債格下げショックの時に、ムーディーズは「短期間のデフォルトはAa 格への格下げで落ち着こう」と語っていた。

ムーディーズがAa 格を維持するのであれば、銀行を規定するBIS 規制上のリスクウエイトが変更されたり、年金が重視するシティ世界国債インデックス(WGBI)のような債券インデックスから米国債が除外されたりすることもない。生命保険会社にしても、ソルベンシーマージン比率の算出上、基本的に格付けの影響はないためか、今までのところ米国債格下げに対する警戒感はさほど高まっていない模様だ。

日本の機関投資家は、米デフォルト不安の台頭に伴う米ドル安や米債の金利上昇(債券価格は下落)に対して押し目買いで出動できる余裕を持っているのだろう。とは言え、長期投資家である日本の機関投資家がこのままドル円を買い上がっていくとは考え難い。

ドルの反発余地は大きくは膨らまない

一方、ヘッジファンドなど海外短期筋はリスク許容度を回復させている模様だ。ただし、決算期末の集中する11月を控え、米国債デフォルト懸念という不確定要素がくすぶる中にあって、敢えてリスク回避時には急騰することが多い円を大規模に売り仕掛けてくるとは思えない。また、そのリスク選好回復にしても、底流の部分ではイエレンFRB次期議長誕生とそれに伴う金融緩和長期化を予想していることの反映のように思える。

米国株や新興国市場などのリスク資産が上昇するにしても、米ドルの対円や対ユーロでの反発余地が大きく膨らむとは考えがたい。今週のドル円相場は97円50銭~99円代後半のレンジで推移すると見ている。
 

高島 修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト

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たかしま おさむ

1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社。99年から為替資金部で欧州担当、米国担当アナリスト、通貨オプションセールスを歴任。2004年チーフアナリスト。10年3月にシティバンク銀行へ移籍。13年5月末からシティグループ証券に所属が移る。機関投資家から高評価受ける。

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