「男の介護教室」で教えられる超実践的スキル 追い詰められる前に知っておきたい

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――教室を見学させていただき、簡単に作れる料理の方法に驚きました。また、介護というと、大変そう、深刻そう、というイメージがあったのですが、参加者の男性たちが楽しそうで笑顔が多く見られたことも印象に残っています。

先ほどもお話ししたように、本当にいろいろな方がいます。最初は気難しそうだなと思う方も、何度か集まるうちに変わってきたように思います。同じ空間で同じテーマに取り組むうちに、仲間意識が生まれてきて、介護教室メンバーの飲み会を企画する人まで出てきました。

こうした人のつながりが生まれたのは、一緒に教室を企画運営している、副代表でケアマネジャーの高橋恵美さんの力、そしていつも一緒に活動をしてくれているケアマネや他のスタッフの力が大きいと思っています。ケアマネさんは自宅を訪問して、介護者の置かれた状況を、健康・経済・環境など多方面から見ます。この方が教室に来たらいいかな、とか、この方とこの方が知り合ったら、お互い楽しいのでは……と個々人のニーズを考えてお誘いしているそうです。

私は歯科医ですから、口から全身の健康を守るのが専門です。特に要介護状態の方では口の細菌が誤って肺に入り込んで炎症を起こす誤嚥性肺炎が問題となります。その予防には口のケアや、食べ物などを誤嚥しないようにすることが大切になります。そこで正しい口腔ケアの方法や、食事の際の適切な姿勢や、食事の形態、食事の介助方法について実習を交えながらお伝えします。

介護者が必要な知識とスキルをもって、上手に実践できるようになると、ストレスが減るのでは、と思っています。

世田谷の開業医の息子が、宮城に移住したワケ

――「男の介護教室」参加者は、現役の介護者向けですか?

確かに現役の介護者の方は多いです。ただ、それにとどまらない関心の高さを感じています。「介護はまだこれからだけれど、心構えや知識を求めている」という方もよくいらっしゃいます。そういう方たちは、私が新聞に寄稿した記事を読んで、自発的に来てくださいます。

また、要介護者が亡くなった後も、教室に来てくださる方がいます。ここが居場所になっているのです。またそのような方々には介護中の体験談等を話していただいたりしております。さらに今までお世話になった教室への恩返しということで、教室のサポーターとなり教室のお手伝いをしてくださる方もいます。介護の終わりがすべての終わりではなく、新たなスタートをしてくださる方も多くいます。

――ところで、河瀬先生は、震災後、宮城県に移住しています。どういった背景があったのでしょうか。

出身は神奈川県川崎市です。実家は東京都世田谷区で歯科医院を開業しています。本来ですと私は3代目になる跡取り息子です。

しかし、東日本大震災は私にとって大きなターニングポイントでした。メディアから伝わってくる光景に居ても立ってもいられませんでした。そこで当時勤務していた長野県の松本歯科大学から長期にわたり歯科医療派遣隊の隊長として被災地に入っていました。その派遣終了後は、個人的にボランティアで毎月被災地に入り、歯科支援活動をしていました。

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