では、実際の演奏における正確な音量は?といった疑問が湧かないでもないが、そんなやぼな質問も吹き飛ぶほどの面白さに時間の経過も忘れてしまいそうだ。この「SPIRIO」を体験したピアニストたちの声も興味深い。
ラン・ランは「ピアノを購入して、ピアニストが家に来てくれるのを待つ必要はなくなります」と語り、「もうピアニストは必要ないね」と冗談交じりにつぶやくピアニストもいたという。
確かにこの自動演奏機能付きピアノ「SPIRIO」の購入ターゲットは、これまでの「弾く人」ではなく「聴く人」であるところがとても画期的だ。世の中を見渡してみても、ピアノを演奏する人よりも聴いて楽しむ人のほうがはるかに多いことは間違いない。そのあたりに、80年の沈黙を破り、満を持して「SPIRIO」を発表したスタインウェイの戦略が見え隠れする。
300万円の魅力的なオプションをどうとらえるか
さて、この「SPIRIO」の気になるお値段は、170センチの奥行きを持つ「モデルM」が1320万円。そして211センチの奥行きを持つ「モデルB」が1690万円。自動演奏機能の付いていない素のままの同じモデルに比べてそれぞれ300万円程高い価格設定となっている。
購入にあたっては、この300万円の素敵なオプションをどうとらえるかが問題だろうが、個人的には久々に物欲がうずく対象だ。そう簡単ではない購入資金の算段はさておき、5月に予定される発売が待ち遠しい。
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