20代社員が「やりがい搾取だ!」と訴える瞬間

上司にはモチベーションを高める工夫が必要

ともあれ、端的に言ってしまえば、「若者は貧乏」なのです。長年続く若者の非正規雇用が多い問題や、少し前にあった奨学金を返せない問題なども、その傍証です。お金がない若者は、欲しいものがあっても買えません。だから、欲しいものの安い代替物や、スマホやネット上でのバーチャルなイメージだけで我慢している、満足せざるをえないのではないでしょうか。

まずは「お金」、その次に「やりがい」

今時の若者は仕事の意義ややりがいを大事にする傾向がある。それはそれで事実でしょう。若者をマネジメントする人は、「なぜ、その仕事をするのか」「どういう価値があるのか」という意味づけをしてあげる必要があります。しかし、物事には順序があります。意味づけをしてあげれば、低賃金でも喜んで働くということではありません。まさに、やりがいがあれば、お金を払わなくてよいということはありません。まず、満足できる最低限のレベルをクリアした給与があってこそ、その次にやりがいを求める心が生まれるというものです。

ですから、タイトルのように「やりがい搾取だ」と若手に言われたら、彼/彼女の待遇(お金の絶対額や、労働時間に見合っているかどうか)が適切なものであるかをまずはチェックしてみてください。もし、そこが満たされていないのであれば、してあげるべきことは昇給や、労働時間などの負荷と報酬のバランスです。もちろん各社には制度やルールがあり、そんな簡単には報酬をいじることはなかなかできないと思いますが、高給を取っている人に仕事を振り分け、報酬の低い人の負荷を減らして上げることならできるでしょう。

また、金銭的報酬が難しければ、若者の望む成長を促すような学習機会(勉強になる仕事を振ったり、経費で研修に行かせたり、必要な書籍を購入してあげたり)を提供することなどはできないでしょうか。そういった基本的な仕事環境の底上げをせずに、「やりがい」ばかりを説いても、若者が乗ってこないのは当然だと思います。

文:曽和利光/株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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