20代社員が「やりがい搾取だ!」と訴える瞬間 上司にはモチベーションを高める工夫が必要
結論から言うと、けして日本の若者の志向は「3.0」シフトしているようにはあまり見えません。採用面接などでは「お金」を仕事選びの最重要事項と言うことはありませんが、本音のところではどうも違うようです。「エン転職」での2015年の調査によると、20代の「働く理由」の第1位は「お金」(66%)でした(2位の「成長のため」は53%)。また、同社の2017年の調査によると、仕事の満足度を下げている原因の20代の突出した1位は「給与額」(63%)でした(2位の「成長できない」は47%)。
つまり、結構な若者が働く理由はお金であり、かつ、それにも関わらず「給料が安いからやってられない」と思っているということです。これはまさに、ダニエル・ピンクの「2.0」の段階です。「成長」が上述調査でどちらも2位につけているので、「3.0」的なものまったくないわけではありませんが、少なくとも一番の関心事や不満が「お金」という「2.0」的なものというのが現状です。アンケート調査結果だけでなく、私も実際に若者に接していて、お金や地位、賞賛、承認など、「2.0」的モチベーションを若者はまだまだ求めているように思えます。
貧乏だから我慢している側面もある
一方、よく、「若者は欲が無くなった」「××離れが続いている(お酒、恋愛、クルマ等)」と我々オッサン世代は言いますが、これは一体どういうことでしょうか。上述のアンケート結果を見ても、そう単純ではないようで、ちゃんとお金を欲しがっています。もちろん、成長期である若者らしく、自己成長に関しての欲求はありますが、一番気になっているのはお金です。実際、サラリーマンの平均年収は、国税庁の調査によれば、98年の465万円以降右肩下がりで、リーマンショックの影響で09年には406万円まで下がり、しばらく低迷した後、ここ数年ようやく上昇してきて2016年で421.6万円という状況です。さらにそういった状況の中、20代の平均年収は250万程度で、50代の550万円程度と比べると、半分以下の年収しかありません。ベテランが若手よりも給与をもらうのはある意味当たり前かもしれません。しかし、シニアが若手よりも、平均で倍以上も会社に貢献しているというのは実感に合いません。
統計数字だけからは確実なことは言えませんが、高年齢層がもらいすぎていて、若者が本来もらうべき報酬を受け取れていないように、私には思えます。