1本で酔える!「高アルコール飲料」の吸引力 サントリー「ストロングゼロ」誕生の舞台裏
たとえば「高アルコール」「甘くない」を前面に打ち出した「ストロングゼロ」が40代男性を中心に売れた一方で、「ストロングは強い男性のイメージで、柑橘系しかないので手が出ない」という女性の声もあった。そこで2011年に発売したのが、「ストロングでフルーツ系」の商品群だ。桃やぶどう、りんごといった、甘いフルーツのフレーバーを採用。また一部の定番商品以外、多くを季節限定商品とし、種類を増やすことで、季節感やイベント性を高めて消費者の購買欲を引き出している。
「働き方改革の影響で、お客様のライフスタイルも変わってきました。高まってきたのが、帰宅後、食事とともにお酒を楽しむというニーズ。今後は、この食中酒需要をさらに狙っていきます。ただ、『ビール以外は料理に合わない』というイメージはまだまだ根強いと考えています。『ビターシリーズ』などの新商品を発売するほか、料理とともに試飲していただけるプロモーションなども企画しています」(井島氏)
ビターシリーズとは、2016年に発売した「ビターレモン」、この3月発売の「ビターライム」などのこと。レモンやライムなどの柑橘系を使用し、シャープな味わいを強調している。
くつろぎのためのひとときを演出
ここで話は転じるが、働き方改革で「家飲み」が増加するのに伴い、「プレミアム需要」も高まってきているという。
「夕食後のひとときに飲んでいただくことで、ちょっとした余韻や、ぜいたくさを感じられるお酒です」(井島)
これにあたるものとして同社で打ち出しているのが2種類。果実の味でぜいたくさを表現する「こくしぼりプレミアム」と、本格的なバーの雰囲気を味わえる「ザ・カクテルバー プロフェッショナル」だ。こくしぼりは「ストロングフルーツ」と同様、季節ごとに限定商品を打ち出し、女性を中心に販売を拡大しているという。
このように、アルコールの飲み方、好みは人によってさまざまだ。消費者が求めるのは、晩酌や食後、寝る前といった、くつろぎのためのひとときをいかに演出してくれるか。仕事を持つ社会人であれば、長時間にわたり、大量に飲み続けるという人は少ないだろう。高アルコールにせよ、フルーツのおいしさにせよ「1本で満足感がある」ことに大きな価値があるのではないだろうか。
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