IR誘致のフロントランナーと目される大阪府と大阪市は、行政と経済界で策定した「夢洲まちづくり構想(案)」(2017年2月)において、2024年のIR開業、2025年の国際博覧会(万博)の開催を想定している。松井一郎・知事(日本維新の会・代表)は、繰り返し、首相官邸、政府に対して、早期のIR開業を可能とする制度を要請してきた。
当初の政府案では、区域認定が2023年前後。大阪府市が認定を受けても、万博前のIR開業は困難となる。大阪府市など先行組の声が、与党や政府に届いた結果、2サイクルの実施検討で与党が合意したと考えられる。
IR実施法成立後のステップはどうなっているのか
IR制度の枠組みは、政府「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ」(IR推進会議取りまとめ・2017年7月31日)、与党「IR実施法に関するワーキングチームとりまとめ」(与党合意・2018年4月3日)で示されている。
政府、自治体、IR事業者が踏むステップには9ステップある。9ステップとは、①政府が基本方針を策定・公表、カジノ管理委員会を設置、②自治体が実施方針を策定・公表、③自治体がIR事業者を公募・選定、④政府が自治体から区域整備計画の認定申請を受付、⑤政府が区域整備計画を認定・公示(自治体とIR事業者が決定)、⑥選定された自治体がIR事業者と実施協定を締結、⑦カジノ管理委員会がIR事業者の免許申請を受付、背面調査を実施、⑧カジノ管理委員会がIR事業者にカジノ免許付与、⑨IR事業者が開業、である。
区域認定(自治体とIR事業者の決定)の大きな流れだけを抜き取ると、(Ⅰ)自治体(都道府県または政令指定市)がIR事業者を公募・選定しIR事業者とともに区域整備計画を策定する、(Ⅱ)政府が自治体から区域整備計画の申請を受け付け、区域認定(=決定をするのは自治体、IR事業者)する、だ。
ポイントは、選定の役割分担にある。自治体がIR事業者を選定し、政府が区域選定する形となった。また、政府へ申請する自治体は、都道府県または政令指定市とされた。もう一つのポイントは、選定の先後関係であり、自治体のIR事業者選定が先、政府の区域認定が後となった。この役割分担、先後関係は、IR業界関係者が長年、議論してきたテーマであるが、最終的には、政府IR推進本部が、海外事例調査およびメリット・デメリット整理を踏まえて決定に至った。
政府は、9つのステップそれぞれの進め方においても慎重を期す考えだ。政府IR推進本部は、本部長である安倍晋三首相の方針「世界最高水準の規制の実現」を重視している。
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