「使いかけの化粧品」を買う今どき女子の事情 若者たちの消費行動はここまで変化している

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若者は「ケチ」だというウソ

若者の消費といえば、若者たちは「とにかく安ければいい」と思っているのだろうと一般的に思われがちですが、彼らは必ずしも「安さ」だけで動いているわけではなく(もちろん、安さは昔以上に重要なポイントとはなっていますが)、それ以外の他の理由もたくさんあることがおわかりいただけたと思います。

たとえば、フリマアプリで売ることを前提に購入するので、高額商品にも手を出しやすくなっている、という話がありました。

確かに、購入する額が高額かどうかではなく、購入する額と売却する額の差額が少ないかどうかが、合理的な価格コンシャスライフであり、ただ安さだけをひたすら追求するのは、フリマアプリ以前のやや前近代的な価値観となりつつあるのかもしれません。

若者は「ケチ」だから使いかけ化粧品を買うというウソ

フリマアプリの普及とともに、使いかけの化粧品がそこで売られるようになり、そして、買う人(特に比較的若い層)が意外と多い、ということが、さまざまなビジネスシーンにおいて驚きとともに伝えられました。もちろん、節約のために使いかけ化粧品を買う若者もいるとは思いますが、これも上記同様、違う理由や動機もたくさん存在しているようです。

たとえば、化粧品の場合、店頭でのテスターでは足りず、1週間などある程度長い期間試さないと自分の肌にしっくりくるか確信できない。だから、買ったことを後悔するのは嫌で、しっかり自分に合うか試したい、という理由。

流行や最新トレンドを熱心に追っているからこそ

また、新商品はものすごい速度でどんどん出てきてしまうので、新品をじっくり使っている間に流行遅れになってしまう。今の若者たちは消費意欲が少なく、流行にも興味がないと思われがちだが、むしろ消費意欲が旺盛で、流行や最新トレンドを熱心に追っているからこそ、いち早く新しい商品に飛びつけるよう使いかけ商品を買う、という考えの若者もいるようです。

若者のファッションが均質化し「系統」がなくなっているという批判のウソ

最近の若者たちにファッションの「系統」(たとえば、青文字系、赤文字系、JJっぽいなど)がなくなってきているといわれています。確かにこれだけファストファッションが普及したので、ファッションの「系統」などのタイプはなくなっており、若者たちのファッションは全体的に均質化しているといわれています。しかし、若者たちの中には、「ファストファッションでいいや。だから、系統がなくなった」ではなく「失敗した洋服を買ったらフリマアプリなどで売ればいいや。だから、自分と違う系統の洋服も買うようになり、結果、系統がなくなった」という考えの人たちもいるようです。

つまり、若者たちのファッションから系統がなくなったのは、若者たちの守りの姿勢ではなく、若者たちの攻めの姿勢からだ、ということのようで、よくいわれる「若者のファッション離れ」とはまったく違う現象と言うことができるかもしれません。

以上が私の考える今回のポイントとそれに対する総括です。いずれにせよ、SNSやフリマアプリの普及などにより、若者たちの消費意識が大きく変わってきており、美容・ファッション業界にかかわる企業はこのリアリティに対応していかなくてはならなくなっています。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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