300万人のドバイが観光収入3兆円を稼ぐワケ ド派手なドバイワールドカップに行ってきた

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とはいうものの、このレースは必ず日本では「年度末」に当たる。世間的に多忙な時期なのだが、なぜか今年は奇跡的に空白が出来た。それも3月28日午後5時半に会社を出れば、午後9時20分の成田発ドバイ行きにギリギリ間に合う!という「点と線」みたいな日程である。いくつかの予定は不義理をすることになったが、ここは断固として長年の懸案を果たすことにした。行くぞドバイへ。

日本からドバイにまで馳せ参じてきたのは、関西空港からのグループも併せると総勢約30人。若者からおじさんまで、そして単身者からご夫婦、お子様連れまで、意外なくらいに多種多様な顔ぶれであった。とはいえ、競馬ファンであることは皆さん同じ。「どの馬が好きなの?」「買い方は?」「去年の有馬は?」と、何でもいいから競馬の話題を投じると、すぐに会話が弾む。自己紹介や名刺交換なんぞは後回し、なのである。

「埼玉県規模」で客に「年3兆円」を使わせる観光立国

ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の一部。アラビア半島の右肩がちょこっと突き出た部分にある。埼玉県くらいの面積に人口わずか300万人前後、しかもその8割以上は外国人という都市国家である。ここに年間1487万人(世界4位)もの観光客が訪れ、2850億ドル=約3兆円(世界第1位!)を散財するという(世界渡航都市ランキング、いずれもマスターカード調べ、2016年)。とにかく途方もない観光立国なのである。

そのためにドバイは「世界一の高層ビル」「世界最大のショッピングモール」「世界最大の人工島」「世界最高の7つ星ホテル」など、人々の度肝を抜くような観光資源を積み重ねてきた。世界最高賞金のドバイワールドカップも、世界中から客を呼び寄せる重要な「タマ」のひとつと言えよう。

だからと言って、シェイク・モハメド国王(首長)の競馬に対する情熱を疑ってはならない。何しろご自分で「ゴドルフィン」なる競走馬管理団体を作り、競争馬を育成している。サラブレッドの先祖はこのアラビア半島にあり。ドバイを名馬育成の拠点とすることを夢として、しかるがゆえに国際レースを開催する。イスラム教の戒律から、ギャンブルが許されないこの地において!

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