最大手シャープも沈没、携帯電話メーカー冬の時代
シャープは6日、過去最高益を見込んでいた2009年3月期の最終利益が、一転して600億円と前期比4割減る見通しだと発表した。ITバブルが崩壊した01年度以来7年ぶりの最終減益で、従来予想から450億円もの修正だ。9月中間期の最終利益予想も前年同期比4割減の250億円に下げた。
シャープの濱野稔重副社長は会見で、「今回の業績下方修正は大半が携帯電話関連の不振によるもの」と説明。同社は上期に携帯販売台数が推計で3割以上落ち込み、自社で生産する携帯用の小型液晶など関連電子部品にも大きな影響が及んだ。
シャープの携帯は06年に発売したワンセグ対応「アクオスケータイ」の大ヒットにより、3年連続で国内首位を快走。同事業の売上高は前期実績で6500億円に上り、液晶関連事業や業務用複写機などの情報機器に次ぐ利益を稼いできた。
しかし、昨秋から通信キャリアによる新料金体系導入が本格化し、端末の店頭販売価格が上昇。これを機に消費者の買い替えサイクルが長期化し、業界の出荷台数は大幅な前年割れが続く。シャープの場合、特にシェアが高いソフトバンクが「iPhone」販売に重点を置き、その割を食った影響も大きい。
主戦場の国内市場の縮小が続く中、下位の三洋電機と三菱電機は事業撤退を余儀なくされた。最大手シャープの大幅な業績下方修正は、国内端末メーカーが置かれた環境の厳しさを物語っている。
(渡辺清治 =週刊東洋経済)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら