名大・岐阜大「統合」で動き出した再編の歯車 中部から始動、いずれ国公私立を含む構想も
アンブレラ方式も国立大学改革の目玉の1つとして、カリキュラム互換など海外大学との連携強化や、国公私立大学の共同による教育研究組織の設置などとともに記載されていたが、国立大学の関係者から、「予算削減を狙った合理化策に過ぎない」「自主性が失われる」といった懸念の声が少なくなかった。そうした批判を受けてか、翌2013年に発表された「国立大学改革プラン」には、アンブレラ方式など再編を促す文言は消えた。
これで再編の議論は立ち消えになったかに見えた。しかし、教育予算のあり方や、少子化による大学進学者減少対策、半数近くが定員割れになっている私立大学の経営強化を目的に、再び俎上に載せられたのだ。
制度改正についての議論も進む。中央教育審議会の将来構想部会では、昨年の5月から、今後の大学(高等教育機関)の将来構想を描く議論が行われている。教育課程の改善や学修評価の厳格化、設置基準の抜本的見直しなど、議論内容は多岐にわたるが、その中に「国公私の設置者の枠を超えた連携・統合の可能性」についても検討対象になっている。
大学統合の具体案が中教審で提示
3月27日の会合では、その具体案として、アンブレラ方式をはじめ、学部単位の事業譲渡や、国公私立大学が参加して組織する大学等連携推進法人の設立などが提示され、議論が進んでいる。
「今年の秋頃の答申に向けて、大学の連携・統合等に関する、専門的な議論を進めていただきたい」(林芳正文部科学大臣)。答申が出れば、法改正に向けた準備が進んでいこう。
国立大学の統合再編は、これが初めてではない。2004年の国立大学の法人化に合わせて、2002年から2003年にかけて、各都道府県の総合国立大学と医科系単科大学を中心に統合が進んだ歴史を持つ。
また、昨年8月に議論が終了した、国立教員養成大学の改革に関する有識者会議の報告書でも「総合大学と教員養成単科大学の統合の検討」「教員養成単科大学同士の統合の検討」などを明記しており、2021年度までに結論をまとめるべきとの意見がなされている。
「法人再編の構想は、名古屋・岐阜大学だけでなく、ほかでも発生する可能性はある」(小林所長)。いよいよ本格的な大学再編の時代が始まったといえるだろう。
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