「働き方改革」は保育とセットで考えるべきだ

待機児童問題で経済界ができることとは?

さきほど紹介した北欧の国々では、育児休業制度が充実し利用率が非常に高いため、そもそも0歳児保育が実施されてなかったり、あっても利用が少なかったりすると言います。

とはいえ、ここは日本です。2014年に荒川区が調査した結果では「午後5時までに帰宅できる母親は27.9%、父親は1.7%であり、共働きやひとり親でフルタイム勤務の場合、多くの家庭で午後5時までのお迎えは困難」(change.org「荒川区に保育時間の延長を求めます」)であることが明らかになっていました。

財界にも待機児童問題でやるべきことがある

今「1日6時間労働」に向かっているという北欧の国々の保育時間だけを見習うのは無理です。もしも、日本の働き方のまま保育を縮めれば、働く親たちは勤務との間で板挟みになって仕事をやめざるをえなくなり、20年前に逆戻りです。

「保育」と「働き方」は、まさに表裏をなす問題です。現状は、「働き方」が膨張しすぎているために、それが社会のコスト(負担)になっている状態です。

特に、マスを占める平日の日中労働者の労働時間を男女ともにコンパクトにし、結果として、保育の利用時間が全体的にコンパクトになるという将来像は描かれるべきです。特に男性の働き方がカギになります。働く母親の現状はカツカツですが、父親がもっとカバーできるケースも多いはずです。

保育を子どもの権利としているヨーロッパの国々では、子どもを含めた家族が家庭ですごす時間を大切にする権利も認めています。

「働き方」の問題は職場風土や経営の問題に根ざしており、個々人では解決できません。待機児童問題に苛立つ財界には、自分たちにもやるべきことがあることを知っていただきたいと思います。

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