アップルは新iPadで教育市場を奪い返せるか 「クラウド主義」グーグルの真逆を行く戦略
たとえば今回追加されたアプリに「スクールワーク」というものがある。スクールワークを用いることで、生徒に授業中の課題や宿題を与えたり、連絡事項の配布、生徒に与えた課題・宿題の進捗管理などが行えるが、アップルのソリューションは校内LANの中で閉じている。すなわち学校内にサーバーを置いて管理したり、あるいはクラウドに情報をアップロードするといったことが一切ない。
このことはプライバシーの面でも好ましいが、その後、実際に会場となった学校内でのデモンストレーション授業などでは、アップルが得意とする“アプリ体験レベルの高さ”を元に、より高い創造力を育てるかに着目している点が大きな違いと言える。
アップルは長年、教育市場に力を入れてきた企業だ。40年前、まだパーソナルコンピュータの黎明期の頃から、教育現場へのパーソナルコンピュータの導入に力を入れてきた。初期のアップルを支えた柱のひとつは教育市場だったと言える。
ところが、iPhoneの発売以降、圧倒的な成功を収めてきたアップルが、唯一、大きく負け越している市場が教育市場でもある。
1台のiPadを「複数の生徒」で共有可能に
今回の発表が米イリノイ州シカゴ市北部にあるLane Tech College Prep High School(名門大学を目指す進学私立準備校)で行われるとわかってから、同社がグーグルに対抗する何らかの発表を行うことは予想されていた。
ただしサービスが中心のグーグルに対し、今回発表されたサービス関連のニュースは、教育期間で教師、生徒(学生)に無料で与えられるiCloudの容量が通常の5ギガバイトから200ギガバイトへと大幅増量されるということだけだ。
それ以外はすべてiPad内で動作するアプリやiOSのアップデートだけで実現している。iOS側の改良でもっとも大きいのは、1台のiPadを複数の生徒で共有可能になったこと。生徒は授業で渡されたiPadでログインすると、その生徒向けの設定でiPadが利用可能になるため、生徒1人ひとりが1台ずつ自分のiPadを購入するのではなく、充電なども含め学校側が一括管理できるようになる。
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