アップルは新iPadで教育市場を奪い返せるか 「クラウド主義」グーグルの真逆を行く戦略

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macOS版「クラスルーム」アプリの画面(筆者撮影)

また、従来より提供されていた授業の進行管理などを行う“クラスルーム”アプリは、macOS版も提供されるようになり、iWorkに内包されるアプリ(文書作成アプリのPages、表計算アプリのNumbers、プレゼンテーションアプリのKeynote)および、音楽作成ソフトのGarageBand、アニメーション作成ソフトのClips、それに代表的な教育機関向けアプリがクラスルームとスクールワークと連動するためのClassKitというAPIに対応。サードパーティ製アプリを含め、教材の配布や進捗管理を行える。

またiWorkの各アプリには電子ブックを作る機能が追加されるなど、細かなアップデートも行われているが、さらにApple Pencilを用いた手書きアノテーション(添削)機能を加えるなど、実際の教育現場での使いやすさを重視した改良も施された。

新アプリや既存アプリの改良点に関しては今年秋のリリースのため、今後、さらなる詳細が明らかになっていくだろう。アップルはAR機能などiOS11で追加した機能やサードパーティ製を含むiPadアプリを用いた教育現場での活用例などを多数準備し、教師を積極的にサポートしていくが、その方向は従来からの電子教材の枠を超えたところに目標を据えている。

教師向けのプログラムも提供

アップルはアップルストアでのセミナーを通じて教師向けに「Everyone can create(すべての人に創造性を)」というプログラムを提供していく。これは写真、動画、音楽、絵画などのジャンルで、iPadを用いたさまざまな課題の作成方法や授業のアイデアを提供、学んでもらうことで、生徒たちに創造性を育もうという取り組みだ。

アップルはSwift Playgroundsを用いて誰もがプログラミングの基礎を学び、また本格的なプログラミングへの発展性も備えた授業手法を伝える「Everyone can code(すべての人にプログラミングを)」という活動も積極的に行っているが、これをプログラミングだけでなく、クリエイティビティにまで拡張する動きだ。

実際に“Everyone can create”で紹介する事例に沿った仮想授業を発表会後に受けたが、Clipsを用いて教材の写真を並べ、そこに動画で解説を入れるなどしたアニメーションを作ったり、歴史的出来事や発言を紹介するスライドのBGMをGarageBandで制作したり、あるいはプログラミングの基礎をSwift Playgroundsで学び、作成したプログラムでロボットを動かしたりといった授業体験を受けた。

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