三越伊勢丹社長が明かす「構造改革の中身」 次の成長に向けた事業構造の転換へ
――不動産事業ではテナントリーシングも今後ある程度の規模の商いになる。
杉江:3月に「フード&タイム イセタン ヨコハマ」を横浜のジョイナス内に出店、4月にはミーツ国分寺を開業します。その他幾つか引き合いがあります。リーシング事業はそんなにもうかりませんが、地域店のてこ入れや海外事業で専門店を導入するときに活用できるノウハウを身に付けておこうということです。
知識と技術だけでなく、顧客をおもんぱかる力が大事
――杉江さんは企画畑だといわれているが、販売力の強化について聞きたい。
杉江:いや、実は僕の一番の強みは販売なのです。僕は企画畑だと雑誌などで書かれますが全然違う。入社35年目ですが経営企画は5年だけで残りの30年は営業。うち10年間が営業スタッフで、20年間は店頭ですから。自分もずっと販売をやってきたし、家庭用品からスタートして新宿の1階婦人雑貨の販売担当長もやり、その後食品に行って一番手を掛けたのは販売なのです。
――では店頭の販売スタッフの役割は。
杉江:現場の販売スタッフの役割はとても重要です。商品には当たり外れがあるし、衣料品は気温によって売れ行きが左右されます。一番裏切らないのは販売力なのです。販売力は上げれば上げただけ積み上がっていくから一番大事です。
――その販売スキルをどう高めていく。
杉江:販売をどうしたらいいかとずっと考えてきました。その集大成が食品でした。07年に食品営業部長になって新宿の食品フロアをリモデルして成功したのですが、2年目に前年を超えるためにすぐに手掛けたのが販売の強化です。
そのときに作ったのが、販売スキルを可視化しOJT(現場研修)に活用しようと現在導入を進めているSSP(販売の質向上プログラム)の原型です。
販売に必要なことは2つあって、一つは接客の知識と技術です。
ただ知識と技術だけでは販売はうまくいかないのです。もう一つ販売に必要なのは何が本当に欲しいのかとお客さまをおもんぱかる力です。これがものすごく大事なのです。要は目の前のお客さまが何をしてほしいのかと気付く力です。一番大事なのは目の前にいるお客さまに興味と関心を持つことなのです。
だから食品営業部長になって、お客さまに関心を持つ、お客さまに対する観察力を上げるというカリキュラムを作りました。そして例えば販売員が良い接客をした後に、どんなお客さまでお客さまはどんなことを望んでいたのかということを全部書かせて、それを朝礼のときに発表させて、みんなでディスカッションしてもらったりしました。
お客さまに関心を持てれば観察し、いろいろ想像する。想像するとお客さまにいい質問ができて、それがうまくはまると良い提案接客ができる。そこまでできるように今もトレーニングをしています。
そういうことを今後もしっかりやっていかなければならないと思っています。
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