三越伊勢丹社長が明かす「構造改革の中身」 次の成長に向けた事業構造の転換へ

拡大
縮小

――新宿本店の衣料品の面積を縮小し雑貨を拡大するというが、衣料品は何割くらいが適正なのか。

杉江:極端に言うと婦人雑貨と婦人服の売上げは今ほぼイコールです。ただ展開フロアは婦人雑貨が1階と2階の靴売場部分、婦人服は2~4階で靴を除くと3フロア弱。つまり売上げはほぼ同じなのにフロアは1対3なので、相当是正が必要です。もちろん服の売り方は雑貨とは違ってある程度の面積を必要とするので1対1にはならないと思いますが。

――化粧品はいつ改装する。

杉江:相手があるので交渉次第ですが、来年度中には着手し、少なくともこの1、2年で終わらせたいと思います。

――衣料品のリモデルの方向性は。

杉江:先に述べたように今は面白みのない売場になっています。お客さまがわくわくするような世界観をつくってあげないと衣料品はなかなか売れないと思うのです。強いブランドは箱で世界観をつくれますが、平場やそれ以外のブランドは百貨店側が環境を整えたり、飲食やお客さまが買い回って楽しめるような衣料品以外のマーチャンダイジング(MD)を入れていく必要があります。

また百貨店は通路にショップを張り付けていくという手法ですが、共通通路だとゾーンごとの特性が出しにくい。ゾーンごとに世界観をきっちりつくって、お客さまがゾーン内で好きなものを見て回れるようにしないといけないと思います。

――メンズ館にも手を付ける。

杉江:一部手直ししたいと思います。例えば婦人と同様に雑貨と服のバランスが崩れているし、紳士靴はもっと大きなゾーンを作って、いろいろなサービス機能を盛り込んで、靴の世界観をしっかりつくらなければいけないと思います。

――新宿も日本橋も100億円を投資する大規模な改装になる。

杉江:今その必要がありますし、投資をしても十分回収ができるはずです。

日本橋はラグジュアリーを充実

――新宿は「ファッションの伊勢丹への回帰」を打ち出した。日本橋は「『エスタブリッシュ』×『上質』」とコンセプトを明確にした。日本橋のリモデルは。

杉江:MDバランスや服の売り方など大きな考え方は新宿と同じです。

新宿は最先端の品揃えやサービスをどんどん取り込んでいく使命があるのでよりMDに軸足を掛けた店にしていきます。

一方、日本橋には定番をしっかりと吟味して買いたいというお客さまが多いので、例えば接客をするスペースやソファなどを増やしたり、顧客のラウンジを充実させたりといった買い方に合った店づくりをしていきたいと思います。MDはラグジュアリー系のブランドの品揃えを増やすなど定番的な安心感のあるものを徹底的に並べていきます。

――得意客向けの会員制サロンを作る。

杉江:航空会社のラウンジと一緒で、年間購入額が多い方に入っていただいて、簡単な飲食ができ、お休みもできるというようなものを作れればと思っています。

――銀座は表立ったリモデルはしない。

杉江:手直しはします。銀座は対象客を来街される日本人と外国人に設定していますが、晴海地区に住み始めたニューファミリーも対象に加えるなどやや中途半端になっています。だから割り切って来街される方に徹底してサービスや商品を特化していきます。

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