三越伊勢丹社長が明かす「構造改革の中身」 次の成長に向けた事業構造の転換へ
――足元の状況は。
杉江:非常にいいです。特に新宿(伊勢丹新宿本店)、銀座(三越銀座店)、日本橋(三越日本橋本店)の基幹店や大都市の店はとても好調です。株高を背景に高額品がよく売れ、インバウンド需要も強く、気温の低下で衣料品系が動いており、この3つが重なって想定以上に売上げが取れています。
逆にインバウンドや高額品などの影響を受けない地方店は前年をほぼ上回って悪くはないのですが基幹店ほどの伸びはありません。ただ支店は厳しいです。
売上げと面積のバランスを是正
――来年度から始まる新中期経営計画における具体的な施策について聞きたい。基幹3店のリモデルは。
杉江:基幹3店には長年手を付けてこられなかった課題があります。
一つは顧客の関心というか売上げのシェアと面積のバランスが相当ずれてきていることです。具体的には衣料品の売上げが落ちてきて、雑貨や化粧品が増えています。このバランスの悪さを是正しなければなりません。
もう一つは新しい売り方や見せ方が求められていることです。例えば化粧品では昔のアメリカの百貨店がつくった柱巻きに列を並べて通路で接客する販売方法が定着していますが、今のお客さまにはもう少しじっくりとカウンセリングを受けたいという要望があります。
またかつて伊勢丹は新しい売り方として靴やハンドバッグといった雑貨を1階に全部下ろしました。ただ上のフロアから雑貨を全部抜いてしまったので、上の衣料品のフロアはハンガーだけが置いてあるような見た感じも買い方としても面白みがない売場になってしまっています。
こうした今まで積み残してきた売上げと面積バランスの問題とか、特に衣料品や化粧品の売り方や見せ方など販売方法の問題が今まで手付かずになってしまっています。新宿と日本橋ではここに徹底的に手を入れていきたいと考えています。
リモデルは新宿は20年の3月までに、日本橋は18年秋には完了する計画です。