英暗殺未遂で米国がロシア外交官ら60人追放 ロシア政府は反発
[ロンドン/ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米政権は26日、3月上旬に英国で起きたロシアの元スパイ暗殺未遂事件にロシアが関与したとして、米国内のロシア外交官ら60人を国外に追放すると発表、欧米から国外退去命令を受けたロシア当局者は100人を超えた。米国はまた、シアトルのロシア領事館も閉鎖する。
欧州各国と足並みをそろえたもので、トランプ政権がロシアに対してとった最も強硬な措置となる。
事件は4日に英南部ソールズベリーで発生。ロシアの元スパイであるセルゲイ・スクリパリ氏とその娘が神経剤で襲撃され、意識不明の状態で見つかった。二人は重体で、現在も入院中。
米高官は「われわれの友人を攻撃した場合、深刻な結果をもたらすことをロシア政府に伝える」と強調した。
ロシアは事件への関与を否定している。英国は先に、ロシア外交官23人を追放するなどの制裁を課しており、ロシアは同じく23人の英外交官を追放することで報復措置をとった。
神経剤が欧州で攻撃目的として使われたのは第2次世界大戦以来。欧州連合(EU)は23日、ロシアに対して追加措置を講じることで合意した。ドイツとフランス、オランダ、デンマーク、ポーランド、ラトビア、リトアニア、エストニアは26日、国内のロシア外交官を追放すると発表した。
メイ英首相は、EU加盟14カ国を含む18カ国がロシア政府当局者の国外追放を発表したと述べた。
この結果、欧米から国外退去命令を受けたロシア当局者は100人あまりに上り、冷戦期以来の規模となる。
メイ首相は、各国による国外追放措置は「ロシアに対し、国際法を無視し続けることはできないという強いシグナルを送った」と述べた。
首相は議会で、英政府はロシアが暗殺のために神経剤を運ぶ方法を調べていたことを示す証拠をつかんでいると語った。
ロシア外務省は米欧各国の措置を受け声明を発表し、「英国の同盟国はやみくもに、欧州大西洋協調の原則に従っている」と批判。国外追放措置は「挑発的な行為だ」とし、対抗措置をとると各国の動きをけん制した。
米当局者らによると、シアトルの領事館閉鎖は米潜水艦基地とボーイング社が近いため。退去命令を受けた60人には、「国際連合に在籍するロシア情報機関員」12人も含まれるという。ロシアの情報収集がますます強引になってきているとの米国の警戒心を反映する。
米当局者によると、国外退去命令を受けた外交官とその家族は1週間以内に米国を離れる必要がある。
トランプ大統領は先週、ロシアのプーチン大統領と電話で会談。プーチン氏の再選を祝福したが、暗殺未遂事件には触れなかった。
米政府がロシア外交官の追放を発表した26日、トランプ大統領はツイッターでこの件について投稿していない。
一方、ホワイトハウスは、米国はロシアと「協力的な関係」の構築を望んでいるが、ロシアの行為がそれを阻むことがあるとの見解を示した。
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