朝ドラ「わろてんか」が訴えてきた笑いの本質 プロデューサー&脚本家が作品を振り返る

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――つまり、大正から昭和にかけてのエンターテインメントの歴史をひもとくような作業だったと。

吉田:そうですね。それらを読んでまとめていくのは、面白い作業でした。

昭和21年までが舞台。空襲ですべてを失った中、「人間と笑い」をどう描くかが見どころだ (写真:NHK)

――「わろてんか」というのはどの辺りの時代まで描かれるものなのですか。

後藤:戦争が終わった直後、昭和21年までが舞台です。このドラマにおける一番のテーマは「人間にとって笑いとは何か」ということ。戦争ですべてを失った後に、人間はどのようにして立ち上がっていくのか。そこがクライマックスになると思っていました。「人間と笑い」を描くならそこだろうと。

吉田:それこそが、最初に構成を考えた時から描きたかったことでした。震災などもそうですが、どんなに厳しい事態に直面しても、「笑う」ことで人は前を向いていけると信じて。だから(主人公の)てんはどんな時でも笑って、すべてを失っても大丈夫だと言ってくれる。私自身、「幸せだから人間は笑う」のではなく、「笑うからこそ人間は幸せになれる」と信じています。このドラマが、皆さんの背中を押す力になってくれたらいいなと思います。

笑うからこそ人間は幸せになれる

――それが朝ドラの使命ということですね。

後藤:僕は若い頃、これからの時代に朝ドラは必要だろうかと思っていました(笑)。講演会に行くと、おじいちゃん、おばあちゃんが「時計代わりに見ています」と言ってくる。当時は「時計代わり」と言われると、非常に残念な気持ちになっていました。しかし、僕も歳を重ねていくうちに、それは決して悪い意味ではなく、すごい存在だと思うようになりました。

連続テレビ小説が、時計代わり、朝の生活の一部になっている家庭は少なくない (写真:NHK)

――朝ドラは人々の日常に入っているものであると。

後藤:そうです。時計代わりというのは、ものすごい褒め言葉だと感じています。そしてこの「わろてんか」というドラマを手掛けることができてよかったとも思います。死の悲劇から逃れるための唯一の救済が「笑い」なんだと。「つらいからこそ笑うんや」――。こんなストレートなセリフが言えるドラマは初めてです。これにはすごく感激しましたし、毎日時計代わりに観ていただいている方にその真意が届けば、こんなにうれしいことはない。朝ドラはいらないと思っていた昔の自分は本当に浅はかでした(笑)。

吉田:NHKのスタッフさんは、みなさん熱量が高い。それは朝ドラに対する視聴者の熱量に比例しているように思います。それを支えに、チーム一丸となって動く。それを目の当たりにできたのは嬉しかったですし、朝ドラの底力を見せつけられたような気がします。

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