ヘルシンキと日本を結ぶ便が増えているワケ フィンエアーが日本路線で欧州最大手に
さらに需要の拡大に貢献したのが、提携する日本航空(JAL)だ。フィンエアーは日本と欧州を結ぶ路線で、JAL、英ブリティッシュエアウェイズ、スペインのイベリア航空と、共同事業(ジョイントベンチャー、JV)を展開している。独占禁止法の適用除外を受け、コードシェアやマイレージ提携だけでなく、ダイヤや運賃の調整や収入の分配を1つの会社のようにできる仕組みだ。
JALは2013年、成田―ヘルシンキ線を就航。日本国内で路線の知名度が高まったほか、JALでヘルシンキまで飛んで、そこからフィンエアーで欧州各国に行く需要も生まれた。「最初は競争激化も懸念していたが、結果的に非常によかった」とヴァウラモ氏は満足げに語る。実際、JAL就航後の2016年には福岡線を新規開設したうえでその後増便、成田線も増便した。
羽田や新千歳で新路線を検討
勢いに乗るフィンエアーは、従来掲げていた2020年までにアジア路線の輸送規模を2010年比で2倍にするという目標を、今年、2年前倒しで達成する見込みだ。2030年には年間の旅客数を現状の2倍近い2000万人に押し上げる計画を立てている。
日本路線でもまだ新路線や増便の余地がありそうだ。2020年には羽田空港の国際線発着枠が年間3.9万回広がる。「成田線は今年就航35周年を迎える。羽田でもビジネスチャンスを獲得するために、よいポジションに着けていると思う」とヴァウラモ氏は期待を込める。未就航の都市でいえば、新千歳も有力とみられる。永原範昭・日本支社長は「札幌はヘルシンキから約8時間と飛行時間が短い。可能性を検討している」と話す。
ブレグジットの影響で、英国が各国との航空協定で再交渉を迫られている中、ロンドン・ヒースロー空港は欧州のハブとしての地位が下がりつつある。そんな中でヘルシンキはどこまで存在感を高められるか。フィンエアーの戦略には、今後も注目が集まりそうだ。
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