中国が「高度監視国家」を構築するための武器 「ブラックテクノロジー」を活用している

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ロイターはここ数日、北京で疑わしい人物や車両を特定するために警察がこのメガネを試験的に使用している様子を確認した。

習近平国家主席が率いる中国は、中国共産党の利益に反する行動をネット上だけでなく幅広く追跡・統制を徹底するため、AI、顔認識、ビッグデータといったテクノロジーの利用に本腰を入れている。

習主席は今月、国家主席の任期制限を撤廃する改革を遂行することで権力基盤を強化するものと予想されている。これによって実質的に、習氏が無期限に現在の地位に留まることが可能になる。

中国全人代の会場となる人民大会堂に足を踏み入れる代議員や訪問者は、顔認識スキャナによる検査を受けなければならない。関連する諮問機関である中国人民政治協商会議の出席者も同様だ。

黒科技がいくつか導入された

テクノロジー専門の国営日刊紙である科技日報は、未来的な監視用電子機器について、中国のマンガに出てくる言葉を使い、「今年、2つの会議におけるセキュリティには、オンライン化した新たな『黒科技(ブラック・テクノロジ―)』がいくつか導入された」と表現した。

科技日報によれば、今年の全人代と政治協商会議で用いられるカメラは、疑わしい顔認識データの取得や、分析、比較を約2秒で完了できるものに更新されたという。これを支えるのは、ブラックリストに載せられた個人に関する全国データベース「スカイネット」と呼ばれるシステムだ。

「SF映画『マイノリティ・リポート』の世界は、いまや基本的には日常生活の一部になりつつある」と科技日報は述べている。『マイノリティ・リポート』は、犯罪が起こってもいないうちに解決され、処罰されるような未来社会を描いた、トム・クルーズ主演の米国映画だ。

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