サントリー、トクホの「特茶」が失速した理由 初の機能性表示食品「流々茶」で狙う挽回策

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主要ブランドの多くで前年並みの販売計画を立てている2018年も、特茶の販売数量は前年比10%減の1480万ケースと2年連続の減少を見込んでいる。その他のトクホ飲料でも穴埋めできず、「黒烏龍茶」や「胡麻麦茶」などを含めたトクホ全体でも同じく10%程度の販売減見込みだ。

トクホ市場に何が起きているのか。飲料市場に詳しい飲料総研の宮下和浩取締役は「機能性表示食品のほうが新製品の発売が多く、トクホとの区別があいまいな消費者が流れている」と指摘する。

富士経済によれば、2017年(予測)のトクホのドリンク類市場規模は2618億円と2015年比で5%の伸びにとどまるのに対し、機能性表示食品市場は開始から3年弱で同3.7倍の392億円に拡大した。

審査に時間がかかるから機能性表示食品に

市場自体はトクホに比べると小さいが、機能性表示食品の届出受理件数は1200件を超え、トクホ承認品目数の1082件を上回っている(3月15日時点)。メーカーにとっても、開発のしやすさに加えて、消費者に訴求できる効果が豊富だという点が機能性表示食品の市場拡大を手伝っている。

トクホは「体脂肪分解」や「血圧上昇抑制」など記載可能項目が限られているのに対し、機能性表示食品では「ストレス・疲労感の低減」や「目や鼻の調子を整える」、「記憶力の維持」など表記がバラエティに富んでいる。

今回、機能性表示食品に参戦するサントリーも、「特茶が訴求する体脂肪対策系は健康飲料の中でも特に競争が激しく、『お通じの習慣改善』という効果で他製品との差別化を図った。トクホとしての発売もできたが、国の審査には1〜2年かかる。その間に他社に先行されたくなかった」と説明する。

これまでトクホ一辺倒だったサントリーの方針転換は、急激な市場変化の象徴といえる。成長する機能性表示食品市場をうまくとらえられるか。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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