文書改ざんは「尻尾切り」で済む問題ではない

当面は麻生氏の去就が焦点、安倍3選も赤信号

これに対し、立憲民主党など野党6党は「国民に事実を隠蔽する前代未聞の異常事態」として、当面の国会審議を拒否する方針を確認するとともに、麻生氏の財務相辞任と国会での真相解明のため佐川氏や昭恵夫人の証人喚問要求で足並みを揃えた。このため、13日の衆院本会議の開催は見送られたが、すでに決まっていた参院予算委の中央公聴会は野党6党が欠席のまま開催された。

野党などが「内閣総辞職に値する政府の不祥事」(共産党)の疑惑の核心として追及するのが「誰がいつ、いかなる動機で、書き換えを指示したのか」だ。この点については、財務省も国会での調査報告で「調査を継続中」と繰り返し、今後の省内調査と大阪地検の捜査結果を踏まえて明らかにする姿勢を示している。

ただ、こうした政府の対応については自民党内からも厳しい意見が相次ぐ。二階俊博幹事長は財務省の調査報告を受けて「想像しがたいこと。エラーという言葉では説明しきれない重大な問題」と財務省を厳しく批判した。また、小泉進次郎筆頭副幹事長は「書き換え自体、あり得ないことだが、なぜ書き換えたのか。何が真実なのか、やはり知りたい。自民党は、官僚だけに責任を押しつけるような政党ではない。その姿を見せる必要がある」と、政府のトカゲの尻尾切りともみえる対応に不満を示した。

そもそも、今回の不祥事の原因になったとされるのが昨年2月の首相答弁だ。今回と同様に“森友疑惑”に関する2月9日の朝日報道を受けて、首相は同17日の国会審議で「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい」と強い調子で否定した。野党の執拗な追及にいら立った上での答弁だが、秘書官らが事前に作った答弁要領を踏み越えた発言で、当時も与党内から「あんなこと言って大丈夫なのか」(自民国対)との不安の声が出ていた。

改ざんは「もっと上からの指示がなければありえない」

この首相答弁を受けて、野党側の追及の矢面に立たされたのが佐川理財局長(当時)だ。佐川氏は2月下旬以降の国会答弁で「(近畿財務局と森友学園との)交渉記録は廃棄している」「(政治家などからの)不当な働きかけは一切ない」「(土地取引の)価格について、こちらから提示したこともないし、先方(森友学園)からいくらで買いたいという希望があったこともない」などと断定的な答弁を続けた。

12日の財務省の調査報告では、この一連の佐川答弁との整合性をとるために、理財局の指示で決裁文書の大幅書き換えが行われた、との説明だ。しかし、与党内からも「発覚すれば刑事罰も受けかねないような公文書改ざんは、もっと上からの指示がなければあり得ない」(自民官僚出身議員)との声が相次ぐ。麻生氏が「最終責任者」と明言した佐川氏にとっても、「改ざん指示など、本人にとって何のメリットもないし、そんなことでエリート人生を台無しにする理由がない」(財務省OB)のは明らかだ。となれば、「誰の指示か」は別にして、「議員も辞める」と言い切った首相答弁への「官僚としての忖度が理由」(同)との説も真実味を帯びる。

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