文書改ざんは「尻尾切り」で済む問題ではない 当面は麻生氏の去就が焦点、安倍3選も赤信号

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当時の政府・与党内では「取引はすべて適正」などと疑惑を否定し続けた佐川氏について、「官僚にしては腹がすわっている」(自民国対)などの評価も多く、麻生氏も「適材適所の人事」として昨年7月、国税庁長官への昇格を決めた。

このため、3月9日に佐川氏の国税庁辞任を決めた際も、「有能で人事は間違いだはと思わない」と繰り返したが、「国税庁長官が確定申告の最中に辞任などあり得ない」(財務省OB)だけに、与党内からも「問題の人物を昇格させたこと自体が大失敗」(公明党)と麻生氏の任命責任を指摘する声も少なくない。

大阪地検の捜査は長期化しかねない

政府・自民党は「理財局の責任」で幕引きを図るため、「さらに財務省での調査を徹底させる」(二階幹事長)とともに、大阪地検の捜査終結後に財務省幹部や関係職員の処分を行う構えだ。ただ、今回の事態を受けて財務省に対する市民団体などの刑事告発が相次ぐ事態も想定され、「その場合は、年度内とみられていた捜査終結が大幅にずれ込む」(検察関係者)との見方も広がる。そうなれば、政府はいつまでも幕引きを図れず、国会攻防も長期化必至だ。

自民党は13日、野党側が要求する佐川氏や昭恵夫人の証人喚問などの国会招致を拒否した。財務省の省内調査が続く中での佐川氏招致などには応じられない、との判断だ。森山裕国対委員長も「(佐川氏は)一般人になったから(喚問は)難しい」と語った。ただ、同党内にも「いずれ佐川氏を招致せざるを得なくなる」(執行部)との声は少なくない。ただ、「佐川氏を証人喚問して、首相サイドからの指示などの新事実が出たら、最悪の事態」(同)となる。このため、「佐川氏がすべてをかぶる、という前提がないと危ない」(自民若手)との指摘も出ている。

野党が佐川氏招致の先に見据えるのが麻生氏の進退だ。過去の大蔵省(現財務省)不祥事でも、蔵相(財務相)と事務次官ら省幹部の辞任で幕引きとなった例がある。与党内からも「プライドの高い麻生氏が、いつまでも針の筵(むしろ)を我慢できるとは思えない」(閣僚経験者)との声がもれてくる。

しかし、「内閣の大黒柱で、首相の後見人」とされる麻生氏が辞任に追い込まれれば、「政権の重大危機で、首相退陣への引き金ともなりかねない」(自民長老)ことになる。その一方で、真相解明が進まない中で、首相が麻生氏を擁護し続けても「国民の政権全体への不信が拡大する」ことも間違いない。

「森友政局」の急展開に合わせて、一部の新聞・テレビが実施した世論調査で内閣支持率は急落の兆しを見せている。昨年6月以降の支持率急落と似た展開で、「このまま疑惑解明が進まなければ、近い将来に政権の危険ラインとされる支持率30%を割り込む事態」(調査専門家)も想定されている。そうなれば、首相が「アベノミクスの目玉」と位置付ける働き方改革法案の今国会成立も危うくなり、国会での憲法改正論議もまったく進まない状況に追い込まれる。

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