文書改ざんは「尻尾切り」で済む問題ではない 当面は麻生氏の去就が焦点、安倍3選も赤信号

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ごっそり削られた政治家や昭恵夫人との関連を示す記述(写真:共同通信)

森友学園をめぐる疑惑は季節外れの台風のように問題が大きくなり、永田町に君臨する安倍晋三内閣を直撃した。週明けの3月12日、学校法人・森友学園との国有地取引問題で、所管の財務省理財局が同学園との契約・売却決裁に関する公文書の「書き換え」を公式に認めたからだ。

国会にも開示した公文書を、最強の官庁と呼ばれる財務省の担当部局が改ざんしていたという前代未聞の不祥事で、1強政権の基盤も大きく揺らいだ。今後の展開次第では9月の自民党総裁選での首相の「3選」にも赤信号が灯る。

首相や麻生太郎副総理・財務相は「財務省理財局の失態」として、同省幹部の懲戒処分などでの事態収拾を図るが、「誰が、どのような動機で指示したのか」などの真相が解明されない限り、国民の政治不信は払拭できない。

特に、一連の決裁文書に付された別紙の売買交渉経過説明で、数カ所に記載されていた安倍昭恵首相夫人の名前がすべて削除されていたことは、昨年来、野党や多くのメディアが指摘してきた政権トップへの忖度(そんたく)による書き換えを裏打ちする事実ともみえる。今後も大阪地検の捜査と並行して財務省独自の調査も続くが、現状では真相解明による政権全体の信頼回復への道筋はまったく見えてこない。

「全容解明のために」麻生財務相は続投

急浮上した今回の公文書改ざん疑惑は、政権を揺るがす「想定外の展開」(自民幹部)となった。発端となった2日の朝日新聞報道から10日後の12日、財務省は国有地取引に関する決裁文書の書き換えを認め、国会に調査報告を提出した。昨年2月の「疑惑の取引」発覚以降に、関連する14文書を意図的に改ざんしたもので、削除部分には首相や麻生氏ら政治家に加え、昭恵夫人の名前も含まれていた。

12日午後、会見する麻生財務相(写真:REUTERS/Toru Hanai)

この調査報告について麻生財務相は12日午後、記者団に、(1)書き換えは佐川宣寿理財局長(前国税庁長官)の国会答弁に合わせて行われた、(2)理財局の一部職員による書き換えで、最終責任者は佐川氏、と説明し、自らの監督責任は認めたものの、進退問題については「考えていない」と否定した。

これを受けて首相も12日午後に「行政の長として責任を痛感している。国民の皆様に深くお詫びしたい」と神妙な面持ちで謝罪した。ただ、麻生財務相については「全容解明のため、責任を果たしてもらいたい」と続投させる考えを表明した。

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