安倍政権の「待機児童政策」は問題だらけだ

自治体は待機児童数を"過少報告"している

待機児童の解消を目指す天野代表(手前右端)ら(2018年2月26日、都内で記者撮影)
「安倍政権肝入りの待機児童政策は、いかにも目新しい装いを見せていますが、実は行きつ戻りつを繰り返しているだけ。しかも、現在示されている政策にはあらが目立ちます」――。こう指摘するのは、待機児童の解消を目指す「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」の天野妙代表だ。安倍政権が進める待機児童政策の問題点とは何なのか。天野代表に解説してもらった。

安倍政権は2013年、「待機児童問題を2017年度末までに解消する」と宣言しました。その後、2016年2月には匿名ブログに端を発して「#保育園落ちた」がSNS上に多く拡散され、2017年2月にも「#保育園に入りたい」というワードが世間で話題となりました。ところが、同年2月には「2022年度末までに32万人の受け皿を確保する」と先送りしました。

そして、先送りを表明してから8カ月後の2017年10月になって突如、2020年度末までの待機児童解消と、3~5歳の幼児教育・保育の無償化を目標に掲げました。これに対して、保活の当事者たちからは「本当に解消できるのか?」「財源が足りるのか?」といった声が多く上がっています。

誰が待機児童の称号をもらえるのか?

待機児童がいなくなり、3〜5歳の保育料が無料になる――。そんな夢のような話が2020年までに実現すればこの上ないことですが、そう簡単にいくのでしょうか。

政府は現在、2020年度末までに新たな整備が必要な保育の受け皿量を「32万人」と試算しています。一方、民間シンクタンクの野村総研の試算では「88万6000人」とはじき出され、政府試算の数値に疑問が投げ掛けられています。

そもそも保育所は、認可保育所と認可外保育所(認証保育所、企業主導型保育所など)の2つに大別されます。認可保育所に入りたい人は住まいのある自治体に申請書を提出します。そして、認可保育所に入れるかどうかは、自治体ごとに決められた「利用調整指数」に左右されます。入れない人たちの多くは、65歳未満の両親と同居している、労働時間が短い、居住年数が短いなどの理由で減点された結果、下位に位置付けられ、認可保育所の選考から漏れるのです。

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