超厄介な2~3歳児にイライラしない人の心得 「イヤイヤ期」にはちゃんと意味がある
「敏感期」は、もともと生物学の用語です。生物には成長の過程で「ある特定の機能」を成長させるために「特別な感受性」を持つ時期があります。
生まれて間もない子どもにはまだ意識的に何かをする能力はありませんが、本能的に環境から学習していくプログラムが備わっています。子どもが自分で考えて意識的に行動をし始めるより先に、時期が来れば自動的にプログラムが発動して、自然のうちに学びへと導くようになっています。これが「敏感期」の作用です。
イタリアの女医、マリア・モンテッソーリは膨大な時間をかけて子どもたちを観察していく中から、多くの敏感期がそこにあることを発見しました。
0歳から6歳までの乳児期・幼児期の間には、実にさまざまな敏感期が現れ、消えていきます。その一つが2~3歳の「秩序の敏感期」です。
2~3歳の子どもが置かれている状況とは
小さな子どもは、大人のようにまわりの環境に対する知識がありません。目に映るものすべてが、知らないことばかりです。このときの子どもがどんな状況におかれているのか理解したければ、今まで一度も行ったことのない国に突然ひとりで放り出された状況を想像してみましょう。
地図を持っていませんから、自分のいる場所がどこなのかわかりません。時計もありませんから、時間もわかりません。買い物をしようにも、通貨がわかりません。見知らぬ人が何か言っていますが、言葉がわかりません。
これはかなり不安な状況だと言っていいでしょう。それでもここで生きていかなければならないとしたら、必死にまわりを観察して、適応していこうとするはずです。地図がないなら、周辺を探索して目印になる建物を見つけて、自分の位置を把握しようとするでしょう。
内面では秩序感が形成されている
2~3歳の子どもはこのようにして毎日を過ごしています。もちろん、大人がそばにいるという点で、先の状況とは異なりますが、それでも身のまわりに「わからないこと」がたくさんあるというのは不安なことです。
子どもは、推理小説の主人公が事件の手がかりを探すように、身のまわりの物事の一つひとつに整理をつけて、わかった順から秩序立てていきます。
「私の家にいるのはお父さんとお母さん、そしてお姉ちゃん。この部屋のこの場所にはお父さんの椅子があって、こっちにお母さんの椅子がある。お姉ちゃんの椅子はこれで、私のはこれ……」という具合です。言葉として表に出ることはなくても、子どもの内面ではいつもこのような作業が行われています。
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