ソニーが掘り当てたエレキのサバイバル術 SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(上)
スマートフォンとクラウドが引き起こしたルールの変化は、これまでのビジネス生態系(エコシステム)を破壊した。電機メーカーは、このままではいつか死んでしまうという危機感は持っているものの、どうすれば新たな環境に対応できるのか、その道すら見つけることもできなかった。
ところが、ソニーはある道を見つけた。一連の施策は、抜本的な復活を示すものではないが、スマートフォン時代の環境に全社で順応することで、野垂れ死にを防ぎ、息をつなぐ道を探ろうというわけだ。
この戦略における中心となるスマートフォン開発を担当するソニーモバイルコミュニケーションズ社長で、ソニー本社・執行役EVPの鈴木国正氏は「まさに社内でも変化した環境への対応、サバイバル、といった言葉を使っている。我々は新たな環境での生き方について検討してきた」と話す。
時間をかけて取り組んだ「環境への順応」
ソニーが市場環境そのものを変化させ、新たなビジネスブランドを生み出すほどの大ヒットを飛ばしたのはいつのことだろう。
振り返ると、1997年発売の平面ブラウン管WEGAまで遡らねばならない。それまではヒット商品を多数生み出し、ウォークマンのようなサブブランドが商品カテゴリの代名詞にもなっていたソニーの不調は、かなり長いのだ。
なぜソニーはヒット商品を生み出せなくなり、長い不調のトンネルに陥ってしまったのか、鈴木氏に尋ねてみた。
鈴木氏は、過去におけるソニーの強さを次のように表現する。
「ソニーだけでなく家電メーカーがうまく回っていた頃は、自社技術を中心にして、第三者の参入を許さないほど、速いサイクルでの製品開発と投入を繰り返すことで利益を上げてきた。ソニーに関して言えば、IT化が進む以前は記録メディアにおける強さがあり、自分たちの持つ知財を軸にしてあらゆる商品を作れていたことが大きい。基本部分を押さえているので、比較的少ない投資で先頭を走ることができた」
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