ソニーが掘り当てたエレキのサバイバル術 SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(上)

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ソニーはスマートフォンに全社資源を集中させている。写真はKDDI向けの「XperiaZ1」

さらにソニーのような大企業にとって問題が深刻なのは、新しいアプリケーション(応用分野)が誕生する基盤が、「スマートフォン+クラウド」という世界になったこと。資金を持っていない起業家であっても、クラウドを活用すれば新しいアプリやサービスを生み出すことが可能だ。

参入障壁がきわめて低くなり、大企業が持つ優位性の一部を奪い去った。

端的な例はコンパクトデジタルカメラだ。2013年の製品出荷台数は昨年と比べて60%近くまで下がる、と見る向きもある。特に普及価格帯の製品は、カメラが高性能化したスマートフォンに市場を奪われていることは明白だ。

こうした市場の変化は、徐々に上位の高付加価値製品にも影響してくるだろう。デジタル化で数多くのカジュアルなカメラユーザーを生み出し、それがレンズ交換式カメラ市場予備軍となり、いずれは一眼レフカメラが売れる。これがニコンやキヤノンなどが、これまで浴してきた好循環シナリオである。

しかし、普及型での原体験を、さらに高品位な二次体験、三次体験へと繋げるユーザーピラミッドの動線が断たれれば、業界上位であっても安穏とはしていられない。

ユーザーピラミッドの瓦解と、専用機を使う原体験の喪失は、電機産業の成功モデルを根本的に変えつつある。

新たなルールでのサバイバル術

日本の電機産業が失った消費者を受け止めているのは、言うまでもなくアップル、サムスン電子だ。彼らは端的に言って、スマートフォン時代の勝者である。

ソニーの平井一夫社長兼CEOは「各分野における普及価格帯製品のユーザーがスマートフォンとクラウドに取り込まれていくのは世の中の流れ。しかし、ソニー製品を選んでいたユーザーには、ソニー製のスマートフォンを使ってもらわねばならない」と、スマートフォンの重要性を強調する。

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