帝人の機能繊維「ソロテックス」が人気のワケ ジャケットやパンツなどで採用相次ぐ

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たとえば、若者向けのセレクトショップでは、ジャーナルスタンダードが同素材のパンツやシャツ、ユナイテッドアローズはカジュアルスーツなどを発売。また、紳士服のAOKIも2017年秋にソロテックス生地のスーツを商品化し、いずれもストレッチの利いた快適な着心地や肌触りの良さ、型崩れのしにくさなどをうたっている。

ストレッチの利いたジャケット、パンツ、畳んでもシワになりにくいウィンドブレーカーなど、ソロテックスの特徴を生かせる用途は多い(記者撮影)

実は、このソロテックス、一時は消えかけた素材だった。帝人と旭化成が2002年にPTT繊維の合弁会社を設立し、ソロテックスの商標で関連生地の販売を開始したが、期待したほどは普及せずに業績が低迷。原糸の製造を担っていた旭化成が見切りをつけて事業撤退を決め、2010年に合弁会社は解散、商売がいったん途絶えた。

しかし、「この技術を捨てるのはもったいない」と帝人が原糸の調達先を新たに手配し、2011年に単独で事業を再開。当初は販売先の確保に苦労したが、徐々に採用が増え始め、この2、3年は毎年3割超のペースで販売数量が伸びているという。

ストレッチ素材の需要増が追い風

PTT繊維は東レなども手掛けるが、帝人は先頭に立って市場を開拓してきたパイオニアだ。「アパレル業界でソロテックスに対する理解が深まり、企画段階で素材に指名してくれるお客さんが増えている。あきらめずにやってきて良かった」。帝人フロンティアの東政宏・繊維素材本部長は、そう言いながら笑顔を見せる。

地道な営業活動が実を結んだ格好だが、衣料に対するニーズの変化も味方した。軽くて動きやすいなど、着ていてストレスを感じない衣料を求める消費者が増え、スポーツ分野のみならず、一般衣料の分野でもストレッチ機能素材の需要が拡大。こうした市場の変化が採用の強い追い風になっている。

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